運動習慣は予定を途中で終えると続く?未完了の目標と再開の段取りを分けて読む

運動の予定を途中で終えたら、次も動きたくなるのか。未完了を意欲の仕掛けにする考えと、再開の段取りを残す工夫を分け、大学生の行動計画、慢性疼痛の目標設定、成人の日常的な活動の研究から考える。予定を完遂できなかった日の記録と、次回の運動を決める際の見方も示す。

マットを敷いて体を動かし始めたところで仕事の連絡が入り、予定した運動を途中で切り上げた。片づけるマットの横に、まだ終わっていないメニューの紙が残る。「この続きが気になるなら、かえって次も続くのでは」と考えたくなる夜がある。

運動習慣を作るために、わざと予定を未完了にする方法を勧める根拠は、ここで扱う研究からは得られない。目標設定を含む介入でも身体活動への効果は不確かであり、計画と行動の関連を調べた研究も、計画が実行を生むという因果までは確かめていない。[18][14]

ただし、途中で終わった日の扱いは考えられる。残りを気にし続けることと、次に何をするかを決めておくことは別の作業だ。この記事では未完了を意欲の燃料と決めつけず、実施したこと、残ったこと、再開する条件を分けて読む。「体力をつける運動は途中で表示が消えると変わる?記録の中断と負荷の判断を読む」が扱う表示の中断とは問いを分け、ここでは予定そのものが終わらなかった後に焦点を当てる。

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未完了の予定は、次の意欲を保証しない

同じ「途中でやめた」でも、出来事は違う。気持ちよく歩いていたが電車の時間になった場合と、予定が多すぎて始める前から負担だった場合では、残る課題が違う。前者には時間の調整、後者には予定の組み直しという検討がある。まず中断の理由を言葉にしないと、どちらにも「もっとやる気を出す」という同じ返事を渡してしまう。

ここでいう未完了は、自分で決めた予定の一部が残った状態を指す。この記事では心理効果の名前ではなく、予定と実施の差を表す言葉として使う。実施した運動が予定より短かったこと、運動を思い出すこと、再び実行することは、日記に書く際にも別々にしてよい。頭に浮かぶ頻度を、次回の参加の代わりに採点しないためである。

目標を置く方法そのものにも、結果を慎重に見る必要がある。慢性的な筋骨格系の痛みがある人を対象とした系統的レビューとメタ分析は、目標設定を含む行動介入を検討した。これは複数の研究を探し、条件に合う試験の結果を統合する研究である。身体活動が増えるかという点では、結論は不明確だった。慢性的な痛みがある人の結果を、18〜39歳の女性全体にそのまま当てはめることはできない。[18]

つまり、目標があれば必ず動ける、まして目標を残せばさらに動ける、という順番には進めない。未完了であることに特別な効力を期待するより、今回の中断が何によって起きたかを確認するほうが、少なくとも次に見直す対象ははっきりする。これは効果を保証する処方ではなく、予定の点検の仕方である。

立川駅北口で帰りの電車を待ちながら、今日の残りを眺める場面を考えてみる。「できなかった」の隣に「仕事の終了が遅れた」と書けば、検討するのは性格ではなく予定の置き場所になる。カレンダーの空白に、人格まで書き込む必要はない。

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やるつもりと、実際に動くことの間を読む

青少年と大学生を中心とした身体活動の研究には、意欲と行動のずれを扱ったメタ分析がある。およそ10〜24歳を対象とする28論文、31の独立した標本、計19,652人のデータを統合した研究である。日常の運動を考えるうえで近い話題だが、18〜39歳の女性全体にそのまま当てはめるには、年齢と生活条件の違いを考える必要がある。[14]

この研究は、行動するつもり、行動の計画、自分に実行できそうだという認識などを含むモデルを検討した。「実行できそうだ」という認識は、意欲と強く統計的に関連していた。行動の計画も、意欲と実際の行動の関係に関わる可能性が示された。ただし、主に同じ時点で測定したデータの統合であり、時間の順序や因果関係は決められない。[14]

モデルが説明した差の割合は、意欲で54.7%、行動で29.2%、行動計画で28.9%だった。これは「意欲がある人の54.7%が運動した」という実施率ではない。集団内にある意欲や行動の違いを、そのモデルがどの程度説明したかという値である。本人が次回に実行できる確率へ読み替えることもできない。[14]

数字を生活の言葉に直すなら、やりたい気持ちと行動を同じ欄に書かない、という視点になる。たとえば「続きが気になる」と思った日は、意欲の欄にはそう書ける。一方で、再開の予定が決まったか、実際に動いたかは、別に確かめる必要がある。気持ちだけを成績表にすると、実行までの段取りが見えなくなる。

研究では多くの関連について研究間のばらつきが非常に大きく、異質性を示す指標は90%を超えていた。集団、測定方法、研究の設計などによって関連の強さが違う。したがって、大学生の集計から「この計画なら誰でも続く」という定型文は作れない。[14]

同じ夕方でも、講義が終わる時刻が読める人と、勤務終了が直前に決まる人では予定の条件が違う。自分にできそうかを考えるときは、意志の強さだけを問いにせず、出発する場所、帰宅の用事、使える時間も書き出してみる。研究が示す関連を、そのまま成功の保証にせず、点検する項目へ置き換える読み方である。[14]

目標設定の研究でも、活動量への効果は不確か

慢性筋骨格系疼痛を対象としたレビューには、36試験、7,275人が含まれた。参加者の平均年齢は57.2歳、女性の割合は61.6%である。目標設定を含む行動介入を、目標設定を含まない対応する介入、通常のケア、待機などと比較している。痛みを持つ集団での結果であり、18〜39歳の女性の運動習慣へそのまま適用することはできない。[18]

対応する介入との比較では、身体活動の標準化平均差は0.88、95%信頼区間は−0.32〜2.07だった。標準化平均差とは、異なる測定尺度の差を共通の単位で表す値である。信頼区間は推定の不確かさを表す幅で、ここでは差がないことを示す0もまたいでいる。点推定だけを見て大きな効果だと言うことはできず、研究の結論も身体活動への効果は非常に不確かとしている。[18]

一方、痛みの標準化平均差は−0.32、95%信頼区間は−0.58〜−0.06、生活動作などの支障は−0.52、95%信頼区間は−0.90〜−0.15だった。痛みについての確実性は非常に低く、支障についても低い。それでも、痛み、支障、活動量は同じ結果になっていないことが分かる。[18]

この違いは、運動の記録にも関わる。気分よく終われたこと、日常の動作を負担なく行えたこと、実際の活動量が増えたことは、別の問いだ。前回より前向きな気分になったとしても、それだけで活動量が増えたとは書けない。反対に、予定の全てを終えなかったという理由だけで、その日に行った動作まで記録から消す必要もない。

また、このレビューが評価したのは目標設定を含む介入である。「目標を未完了にして終える」という操作の効果へは置き換えられない。目標を決めること、目標に向けて支援を受けること、意図的に残すことを一括りにすると、研究が比較した条件から離れてしまう。[18]

予定の長さを先に変えることと、実施中に中断することも区別したい。初めから生活に収まる内容を予定して終えたなら、その日の予定は完了である。元の長いメニューと比べて短いという理由だけで、未完了と呼ぶ必要はない。反対に、予定した内容が残っていても、それを次回に引き継ぐのか、計画から外すのかはまだ決まっていない。この区別は、自分が何を目標にしていたかを明らかにするために役立つ。

目標設定の効果を読むときには、比較相手にも注意したい。同じような支援で目標設定だけが異なる比較と、通常のケアや待機との比較では、答える問いが違う。レビューでもこれらを区別し、通常のケアや待機との比較の結果は項目によってさまざまだった。支援全体を受けた結果を、目標という言葉だけの効力にはできない。[18]

さらに、計画と行動に関連があっても、よく動く人ほど予定を書きやすいという向きや、別の生活条件が両方に関わる可能性を分ける必要がある。横断的な統合から時間の順序を決められないのは、そのためである。予定表を作れた日を出発点にすることはできるが、その時点で継続の答えが出たわけではない。[14]

数字で読む目標と実行の距離

19,652人:青少年・大学生の計画と身体活動を扱う統合研究の参加者数である。[14]

29.2%:同研究のモデルが説明した行動の差の割合で、個人の実施成功率ではない。[14]

36試験:慢性筋骨格系疼痛に対する目標設定を含む行動介入のレビューに含まれた数である。[18]

−0.32〜2.07:対応する介入と比べた身体活動の標準化平均差の95%信頼区間で、不確かさが大きい。[18]

8,551人:生活の中に組み込む身体活動のレビューで扱われた成人の総数である。[4]

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宮川涼 Founder

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