マタニティヨガの目的を体調記録で確かめる、体への注意と不安を分ける見方

マタニティヨガで体に意識を向けたのに、不安まで増えた気がする。そんな日の体調記録は、感じたことと心配したことを分けて読む。妊婦の内受容感覚を調べた観察研究と集団プログラムの比較試験から、注意の向け方、身体への信頼、産後までの変化を整理し、自分の目的を確かめる視点を示す。

帰宅して手帳を開き、「今日は体の変化によく気づいた」と書く。その隣に「でも、気になって落ち着かなかった」とも書いた。マタニティヨガの目的が体調を知ることなら、これは前進なのか。気づきの多さと不安の少なさは、同じ欄では採点できない。妊婦を対象とした研究でも、身体感覚への注意、感覚をどう評価するか、身体への信頼は分けて検討されている。[4][6][15]

記録するなら、「何を感じたか」と「それをどう受け止めたか」を別の言葉にするのが出発点になる。これはヨガの効き目を証明する検査ではなく、研究で区別されている側面を日常の振り返りに借りる方法である。日本の妊婦を調べた小規模研究では、感覚についての自己評価と、心拍を数える課題の成績とのずれも不安に関連していた。[6]

身体に注意を向ければ必ず落ち着く、と目的を固定する必要はない。感じ方を説明できることを目指すのか、心配を相談したいのかで、見たい変化も異なる。集団で行う妊婦向け作業療法の比較試験でも、不安に強みを示した方法とうつ症状への対処に強みを示した方法は同じではなかった。[1]

教室の案内は既存記事「マタニティヨガ」などに譲り、ここでは体調記録で目的を確かめる問いに絞る。参加方法を探す話と、日々の記録をどう読むかという話を分けて進めたい。

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体の声を聞く、には違う作業が含まれる

内受容感覚とは、体の内側の生理的な状態に関わる感覚である。ただ情報を受け取るだけでなく、何が起きているかを推測し、評価する側面も含む。日本の妊婦の研究は、この多面性を前提としている。「よく気づく人ほど健康」という単純な順位表にする概念ではない。[6]

たとえば、帰り道に体の変化に気づいた場面を考える。「変化を感じた」は感覚の記述、「何か悪いことかもしれない」はその解釈である。手帳で両者を続けて書くと、後で読んだ自分にも区切りが見えにくい。この区切りを作ることが、身体への気づきの複数の側面を扱う研究から借りられる視点だ。[4][6]

さらに、注意をどこへ向けるかを調整することと、感覚について心配しすぎないことも別である。妊娠高血圧症候群のリスクがある妊婦の研究では、質問紙の「注意の調整」と「身体感覚を心配しない」という側面を別々に扱っていた。どちらも食行動との関連が見られたが、同じ項目として測ってはいない。[4]

そこで体調記録にも、観察と受け止め方の区切りを持たせたい。「気づけなかったから失敗」と判定する代わりに、何を説明でき、何がまだ分からないのかを書き分ける。これは研究で使う質問紙の代用品ではない。日記の目的は自分を研究対象の点数に当てはめることではなく、話したいことを残すことに置く。

脳の仕組みは既存記事「【連載】ヨガはなぜ効くのか 第4回|内受容感覚と島皮質——『身体に気づく』の神経基盤」に譲る。ここで扱うのは、妊娠中の生活で「注意を向けた」という出来事を、どの欄に記録し、何の変化として読むかという問いである。

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感じているつもりと、課題の成績は同じではない

日本のパイロット研究は、妊娠の高リスクではない妊婦32人を対象にした。身体感覚への気づきを質問紙で調べるとともに、心拍を数える課題で内受容感覚の正確さを測った。不安やうつ症状も質問紙で測り、それぞれの関連を分析している。[6]

ここで大切なのは、体を分かっていると答えることと、課題でどれだけ正確に捉えたかを区別した点である。研究では、内受容感覚についての自己評価と、自己評価と正確さの差が、不安と関連していた。日記の「よく分かった」という感想だけを、客観的に体調を把握できた証拠にはできない。[6]

ただし、この結果から「自信を持つと不安になる」と逆向きに決めることもできない。相関を調べた小規模な研究であり、気づきの練習が不安を増減させたことを示す試験ではない。研究者も、妊娠中や産後の不安の早期発見に役立つ指標になるかは、縦断研究で検討する必要があるとしている。[6]

家の記録で心拍の数え直しを課題にする必要はない。むしろ「よく分かった気がする」と「医師に確認したいことが残った」は両立してよい。日記を正確さの試験にしてしまうと、相談したいことまで正答と誤答に分けたくなる。手帳は採点者ではなく、相談のときに開ける控えとして使う。

質問紙で答える身体感覚への気づきは、本人が日頃の自分をどう捉えているかを尋ねるものだ。一方、心拍を数える課題は、用意された課題での成績を得る。この研究は、異なる測り方を並べて初めて見えるずれを扱っている。日記だけでは同じ比較はできないが、「自分の印象を書いている」という位置づけは明確にできる。[6]

たとえば、前のページの「今日は集中できた」と、次のページの「今日は不安だった」を比べても、同じ問いへの答えにはならない。変化を読みたいなら、前者には集中した対象、後者には心配した内容を添える、といった整理が考えられる。何を測るかを分けた研究を、家庭では何を書き残すかの区別へ置き換えるのである。[6]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

注意の量より、心配と注意の調整を分ける

妊娠高血圧症候群のリスクがある妊婦95人を対象にした研究では、妊娠約18週で、24時間の血圧、内受容感覚への気づき、食行動を調べた。体格指数や教育、所得、人種を調整した回帰分析で、それらの関連を検討している。一般のヨガ参加者を集めた介入試験とは対象も方法も違う。18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめるには、妊娠の有無や高血圧症候群のリスクの違いを考える必要がある。[4]

身体感覚について心配しない傾向が強いことは、制御しにくい食べ方や感情に伴う食べ方が少ないことと関連した。注意を調整する側面も、それらの食行動の少なさと関連していた。身体への注意を一括して「増やす」と表現するより、どの側面を指すかを確かめる必要がある結果だ。[4]

数値では、心配しない側面と感情に伴う食べ方との回帰係数は−0.51、注意の調整との係数は−0.25だった。ただし、これは各尺度を用いたモデル上の関連を表す係数で、食べる量がその割合だけ減るという意味ではない。家庭の食事量や血圧を変える目標値への換算もできない。[4]

同じ研究では、心配しない側面と日中の拡張期血圧の低さにも関連があった。しかし「不安を手放せば血圧が下がる」という因果を確かめた研究ではない。血圧の管理は医師に相談する対象であり、ヨガの日記と並行して測定や診療が必要である。[4]

夕食前のメモなら、食べ方を良い悪いで裁くよりも、感じたことと、そのとき考えたことを並べる用途が考えられる。「空腹が気になった」「食べてよいのか心配した」は別の文にする。研究の関連を自分の原因探しへ短絡させず、相談の材料にするための書き方である。

集団プログラムで何が変わったのか

トルコの病院で行われたランダム化比較試験は、妊娠中期の健康な妊婦74人を対象にした。母親としての役割を準備する訓練23人、日常の活動で自己への気づきを重視する作業療法23人、対照群28人に分けた。集団セッションは週2回、8週間で、妊娠後期と産後12週にも評価した。[1]

気づきを中心にした作業療法は、不安、感情の調整、生活の質で良好な結果を示した。一方、母親役割の準備を行う方法は、うつ症状の軽減や適応的な対処により有効だった。目的が「気分を良くする」だけでは、こうした違いが消えてしまう。心配への対処と生活上の準備を、別の課題として考える手掛かりになる。[1]

この試験は、マタニティヨガの集団クラスを試したものではない。参加者が集まる形式という共通点があっても、内容や専門職の関わりを飛ばして効果を移すことはできない。体調記録に借りるなら、「参加できた」と「何が変わった」を分ける考え方までである。[1]

また、痛みと睡眠に関する改善は追跡時点で弱まっていた。終了したときの手応えを、その後も続く変化と同一視しない読み方が必要だ。気づきのプログラムに良い結果が出ても、変化の続き方は評価項目ごとに確かめたい。[1]

比較試験では、不安とうつ症状の尺度だけでなく、ストレスへの対処、感情の調整、生活の質も測っていた。評価項目が違えば、優れていた方法も違う。「よくなった」という短い結論の後ろには、どの項目で、どの方法が、いつ良かったかという条件がある。自分の目的を決める場面でも、睡眠への期待と心配の相談を同じ欄にまとめない読み方ができる。[1]

数字で読む、体への気づきの研究

32人:日本の妊婦のパイロット研究。自己評価と心拍を数える課題を併用した。[6]

95人:血圧と食行動の関連を調べた研究。妊娠高血圧症候群のリスクがある妊婦が対象である。[4]

74人:作業療法の比較試験の参加者。ヨガの効果を測った人数ではない。[1]

週2回・8週間:集団作業療法の実施条件。自己流の練習の推奨頻度を意味しない。[1]

産後12週:比較試験の追跡評価時点。プログラム終了直後と区別する数字である。[1]

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宮川涼 Founder

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