ソイプロテインを味噌汁に混ぜると塩味は変わる?薄めた量と舌への届き方を読む

ソイプロテインを味噌汁に入れて薄く感じても、塩分が減ったとは限らない。大豆たんぱく質を使った加工食品の研究から、塩の量、食品の構造、口の中での出方、うま味を分けて読む。すり身や発酵食品の結果を家庭の一杯へ広げすぎず、味噌を足す前に比べたい条件と、食べ続けられる味の確かめ方を考える。

味噌汁にソイプロテインを混ぜたら、味噌を足すべきだろうか。いつもより白く、少しもったりした汁を飲んで「味が薄い」と思う。そこで味噌を足す前に、何が薄くなったのかを考えたい。塩の量と、口で感じる塩味は同じ物差しではない。大豆たんぱく質を用いた加工食品では、内部の構造を変えることで、塩を減らしても対照と似た塩味を得た実験がある。[7]

その実験の対象は、大豆たんぱく質と小麦グルテンを使い、繊維を加えて加工した食品である。18〜39歳の女性が家庭で飲む味噌汁の塩味に、その結果をそのまま当てはめることはできない。液体の味噌汁にそのまま置き換えるのではなく、「塩がどれだけあるか」と「どう口に届くか」を分ける手掛かりとして読むのがよい。[7]

「ダイエットの味噌汁は薄味に慣れられる?運動日の食卓と塩味の好みを読む」では、薄味への慣れを扱っている。ここで考えるのは、慣れるまでの時間ではなく、同じ食卓で粉を混ぜた前後の違いだ。水を加えたのか、味噌を増やしたのか、粉を混ぜたことで口当たりが変わったのか。お椀の中の変更点を、順にほどいていく。

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塩の量と、しょっぱさの評価を別々に置く

味噌汁に粉を入れる場面には、いくつかの作り方がある。できあがった汁へ直接混ぜる場合もあれば、別の器で水に溶いてから戻す場合もある。「ソイプロテインを足した」という言葉だけでは、水まで足したのかが分からない。味の比較をするなら、まず元の汁、加えた粉、加えた水、後から足した味噌を別々に記録する。これは家庭で違いを見失わないための整理である。

水を加えて汁を増やすことと、食塩を取り除くことは別の操作だ。元の汁をすべて飲み、加えたものもすべて口にするなら、もとの食塩がどこかへ消える計算にはならない。反対に、同じ容量だけ取り分けて比べるなら、作った全量と飲んだ量を区別する必要がある。ここでは特定の製品の成分を決めつけず、使う粉の表示と実際の調理記録で確かめる。

研究でも「塩味が似ていた」と「塩が同じ量だった」は別に扱われる。大豆たんぱく質と小麦グルテンによる代替肉の食品実験では、柑橘由来の繊維を加えて内部構造を変え、食塩を20%減らした試料で対照に似た塩味を得ている。これは塩の含有量だけで味の強さが決まるという考えでは説明しきれない結果である。[7]

この20%は家庭の味噌汁で減らせる割合ではない。対象は高水分の押出加工で作った食品で、繊維の添加と加工による構造の変化を伴う。お椀に粉を足した場合には、この工程がない。同じ大豆由来という共通点よりも、何をどう作ったかという相違点を先に見る必要がある。[7]

「薄くなったから健康的」と言い切るのも、「しょっぱくなったから塩が増えた」と即断するのも早い。研究が示したのは、食塩の削減と塩味の維持が、特定の食品設計で両立したことだ。家庭では舌の感想を残しつつ、材料の量も別の欄に残す。そのほうが、味噌を足した理由まで後でたどれる。[7]

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大豆たんぱく質は、塩を抱える構造の一部になりうる

塩の届き方を考える鍵は、食品の内部構造である。研究でいうゲルは、材料が網目のようにつながり、水を含んだ食品の構造を指す場面で使われる。大豆たんぱく質とこんにゃく由来の多糖類を組み合わせたハイドロゲルの実験では、その構造をナトリウムの保持と放出に利用している。食塩を含む材料の配置まで設計した研究である。[1]

対象は、食塩濃度1.5%の南極オキアミのすり身だ。そこへハイドロゲルを20%配合した試料は、低塩の対照より保水性が54.08%高く、ゲル強度は2.35倍だった。加熱による損失も63.13%少なかった。これらは食品の性質を測った数字であり、人の体調や筋力が変わった割合ではない。[1]

この実験では、模擬的な口の中での咀嚼に伴うナトリウム放出を調べ、電子舌などの評価と併せて、内部でのナトリウムの配置が塩味の強化に関係するとしている。電子舌とは、味に関わる性質を機器で評価する方法である。機器の結果と、毎日の夕食で本人が好む味は、同じものとして扱わない。[1]

別の食品実験では、分離大豆たんぱく質をカードランまたはジェランガムという多糖類と組み合わせ、減塩したタチウオのソーセージを作っている。安定した網目構造とナトリウムの不均一な分布が形成され、官能評価と電子舌によって、ナトリウムの放出と塩味の増強が確認された。[3]

ここで面白いのは、均一に混ざれば常に最善、という単純な話ではない点だ。食品の中にどう分布するかも設計の対象になっている。ただし、研究で設計された不均一さと、家庭で溶け残った粉の塊は同じではない。論文の網目構造を、溶け残りを歓迎する理由にはできない。[1][3]

さらに、大豆たんぱく質とカルボキシメチルセルロースナトリウムを利用した魚油の微小カプセルを、低塩の筋原線維たんぱく質ゲルへ加えた実験もある。口腔内の消化を模した条件でのナトリウム放出や、ぬれやすさ、粘液への浸透性を検討し、電子舌による塩味、豊かさ、後味の増強につながったとしている。[9]

この研究の主役も、粉末単独ではなく、たんぱく質と別の材料で作った構造である。大豆たんぱく質という材料名だけを抜き出すと、微小カプセルや食品の網目という重要な条件が抜け落ちる。家庭の味噌汁については、塩味の変化に構造が関わりうるという見方までを持ち帰り、増強の程度は決めつけない。[9]

とろみ、うま味、塩味をひとまとめにしない

味噌汁に粉を入れたあと、「濃くなった」という感想が出ることがある。この濃いは、しょっぱいのか、口当たりが重いのか、うま味が強いのか。料理の会話では便利な言葉だが、比べるときには曖昧だ。大豆たんぱく質を扱う研究でも、食感の変化とうま味、塩味の変化は別々の評価項目となっている。[3][4]

大豆ペーストの発酵を扱った食品実験では、発酵前の大豆たんぱく質にマイクロ波による膨化処理を加え、その構造と発酵中の成分変化を調べている。適した条件の処理によって分解が進み、うま味に関わるアミノ酸の相対的な多さなどが変化した。官能評価と電子舌では、うま味が強まり、苦味と塩味は弱まった。[4]

うま味が増すなら塩味も増すはず、とはならなかったわけだ。この結果は、味の各項目を分けて聞く意味を示している。ただし、発酵前の処理から追った大豆ペーストの実験であり、食べる直前に味噌汁へ粉を混ぜる操作とは違う。発酵食品としての変化を、その場の混ぜ合わせで再現できるとは考えない。[4]

酵素でたんぱく質を分解し、さらに加工してコク味調味料を作る実験にも注意したい。大豆たんぱく質の分解物は苦く、追加の酵素反応で苦味が有意に減っても、味の評価はなお好ましくなかった。一方、小麦グルテン由来の加工物は好まれ、厚み、コク味、うま味が強まり、塩味は適度に増していた。[10]

同じ酵素処理という説明でも、出発する材料によって評価は違う。大豆たんぱく質という名前から、うま味やコクが必ず足されると想像するのは危うい。研究では、原料だけでなく、分解と追加反応まで行って味を確かめている。市販の粉を選ぶ際にも、期待する味を先に決めるより、実際の汁との組み合わせを確かめたい。[10]

食感の変化を読むときには、保水性という項目も塩味と取り違えないようにしたい。水を保ちやすくなったことは、塩が減ったことでも、味が薄まったことでもない。オキアミすり身の研究は保水性、ゲル強度、加熱損失を測り、さらにナトリウムの分布と放出を検討している。いくつもの項目を並べて初めて、材料の働きが見えてくる。[1]

家庭で「粉を入れたら汁が濃厚になった」と言うときも、その言葉を研究の塩味増強と直結させない。口当たりの変化を気に入ったなら、それ自体を料理の評価として残せばよい。うま味の増加と塩味の低下が同時に起きた発酵ペーストの例は、濃厚という言葉の中身を問い直す助けになる。[4]

数字で読む食品構造と塩味

食塩20%削減:柑橘繊維を加えた代替肉で、対照に似た塩味が得られた条件である。[7]

繊維5%と10%:その代替肉実験で検討された添加条件で、味噌汁への推奨量ではない。[7]

食塩1.5%:ハイドロゲルを検討した低塩オキアミすり身の条件である。[1]

保水性54.08%上昇:ハイドロゲル配合すり身の対照との比較で、塩味が増えた割合ではない。[1]

1.0%と1.5%:鶏胸肉の漬け液で検討された家禽由来たんぱく質の濃度で、塩味などの官能評価に処理間の差はなかった。[15]

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宮川涼 Founder

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