ダイエットの間食のはちみつは色で選べる?蜜源と成分の関係を読み違えないために

間食に使うはちみつは、濃い色ほどポリフェノールが多いのか。蜜源や産地を比べた食品分析から、色が手掛かりになる範囲と、見た目だけでは判断できない理由を読む。抗酸化活性の測定値と体重への効果を分け、百花蜜や植物抽出物を加えたはちみつを選ぶときの表示の見方も考える。

ヨーグルトに添えるはちみつを選ぼうと、台所で瓶を並べる。淡い金色と濃い琥珀色。ヨーグルトに添えるなら、濃い方が体によさそうだと思うかもしれない。実際、色と成分の関連を調べた研究はある。ただし、その関連をそのまま「濃い方が痩せる」という買い方には使えない。[4][9]

答えの芯は、色は成分を考える手掛かりであり、含有量や体重への効果を保証する札ではない、ということだ。植物抽出物を加えた実験では、見た目の色に有意な変化がなくても抗酸化活性が変わった。瓶を眺めるだけでは拾えない違いがある。[7]

「はちみつは砂糖より太りにくいのか 血糖と体重を比べた試験の条件を読む」には、甘味料としての比較を譲る。ここでは、間食のために瓶を選ぶ場面に絞り、蜜源、色、ポリフェノール、測定方法のつながりを読む。

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蜜源が違うと、成分の顔ぶれも違う

蜜源とは、はちみつのもとになる蜜を供給する植物である。特定の花に由来する単花蜜と、複数の花に由来する百花蜜を比べる際、名前の違いだけを見ても中身は決まらない。ブラジルのはちみつを調べた食品分析では、花粉を確認したうえで、色や糖、総ポリフェノールなどを測定している。研究者も、瓶の色だけで由来を決めてはいない。[15]

ルーマニアの探索的な研究では、アカシア、リンデン、菜種、ラベンダー、タイムに由来する単花蜜の計8試料を比較した。リンデンはシナノキ類を指す。この研究の総フェノール量は179.26±23.57〜586.67±18.33 mg GAE/100 gで、タイムとリンデンのはちみつで高かった。アカシア、リンデン、菜種では市販品と地元で入手した試料も含まれていた。[4]

総フェノール量は、関連する成分をまとめて評価した測定値である。ここで使われるGAEは、没食子酸という基準物質に換算した値を意味する。食品中のポリフェノールを、すべて同じ物質として実際にその重さだけ量り取った数字とは区別して読む必要がある。この研究でも、総量の測定とは別に成分の顔ぶれを分析している。[4]

その成分分析では17種類のフェノール性化合物が暫定的に同定された。タイムのはちみつでは没食子酸、リンデンのはちみつではルチンなどが目立った。総量が高い試料同士でも、目立つ成分は異なる。総量は見出し、成分の顔ぶれは本文、と考えると読みやすい。両方を読むことで、蜜源ごとの特徴が具体的になる。[4]

ここでの対象はルーマニアのはちみつ8試料で、人に食べてもらう試験ではない。18〜39歳の女性の体重や健康への効果に、そのまま当てはめることはできない。限られた試料を調べた探索研究なので、花の名前を世界共通の順位表にすることもできない。食品売り場では蜜源を手掛かりにしつつ、測定値は調べた試料に属する値として読む。[4]

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色と抗酸化活性は関連するが、同じ項目ではない

抗酸化活性とは、この種の食品分析では、特定の反応系で酸化に関わる反応をどの程度抑えたり、還元する力を示したりするかを測った値である。ルーマニアの研究は、DPPH、ABTS、FRAPという異なる方法を併用した。ひとくちに抗酸化と書かれていても、研究の中には複数の物差しがある。[4]

同研究では、総フェノール量とABTS法による活性の間に相関があり、相関係数はr=0.86だった。また、色の強さを機器で測った値と、FRAP法による活性の間にもr=0.86の相関があった。前者は成分の総量と反応、後者は色の測定値と反応の組み合わせである。数値が同じでも、比べている項目を入れ替えて読んではいけない。[4]

ここから読み取れるのは、調べた試料群で、それらの値が一緒に変わる傾向があったことだ。「色だけで総フェノール量を正確に読み取れた」「色を濃くすれば健康効果が増えた」という意味ではない。相関の結果を読むときは、何と何を対応させたのかを、文章の主語に戻す必要がある。[4]

色を使って成分を素早く推定しようとする方向自体は、研究されている。色の機器測定と、フェノール類やフラボノイド類の量との関連を扱った論文は、十分に近い相関が得られれば、複雑な試料の前処理を省く測定手順につながり得ると述べる。これは、測定法を整えるための話である。店頭の照明の下で眺める行為と同一ではない。[20]

たとえば同じ瓶を見て「昨日より濃く見える」と感じても、その感想を研究の測定値に置き換えることはできない。研究では機器による色の強さと分析値を対応させている。生活の中では、色を興味の入口にしても、数値の代用にはしないという使い分けになる。[4][20]

濃い色をつくるのはポリフェノールだけか

色が成分と関連するなら、色の原因を知りたくなる。ここで注意したいのは、色に関係する成分を、ポリフェノールだけに絞らないことだ。アカシア、ソバ、リンデンなど、異なる色のはちみつを分析した研究では、有機酸、ポリフェノール、ビタミンなどを定量し、色との関係を調べている。[9]

液体クロマトグラフィーと高分解能の質量分析を組み合わせた方法は、混じり合う成分を分け、その性質から調べる分析手段である。この研究では、キナ酸やアスコルビン酸などが色と有意に関連した。ポリフェノールの総量だけを眺めるより、関係する成分の範囲が広い。[9]

さらに関連した物質をはちみつに加える検証では、色が濃くなり、その濃くなり方は、もとの色とも関係した。これは、分析で関連を見つける段階から、物質を加えて色の変化を確かめる段階へ進んだ実験である。それでも、食べた人の体重や体調を比べた結果にはならない。[9]

この結果を買い物に戻すと、「茶色の濃さはポリフェノール量の目盛り」という見方が単純すぎることが分かる。複数の成分が色に関わる混合物では、見える結果から、特定成分の量を逆算するには検証が要る。色から得られる情報と、成分を分析して得られる情報を分けて扱いたい。[9]

色のある食品を選ぶ楽しさまで手放す必要はない。濃い琥珀色が気に入ったなら、それは選ぶ理由になる。ただ、「好みで選んだ」と「成分量を確かめて選んだ」は別の説明だ。自分の買い物の理由を、研究で証明された理由へ着替えさせないようにしたい。

食品分析を読むときには、測定対象を小さな言葉で分けると混乱しにくい。「色」「成分の総量」「個々の成分」「反応の強さ」である。ルーマニアの研究は、それぞれを別々に測り、結果を関連付けた。複数の検査を組み合わせたからこそ見える関係であって、色の検査だけですべてを済ませた研究ではない。[4]

たとえば色とFRAP法の値が近い動きをしたとしても、その関係が別の試料群にも同じ精度で使えるかは、別に確かめる問いになる。試料群の中で成立した関係を、あらゆる瓶に広げるところで条件が抜けやすい。家で選ぶ瓶については、研究の傾向を知っていることと、その瓶の測定値を知っていることを区別する。[4][20]

また、総量を測る検査と、個々の化合物を分ける検査は、読み取れる内容が違う。ルーマニアの研究で総フェノール量と成分の顔ぶれが併記されたのは、その違いを考える手掛かりになる。「成分が多い」と聞いたら、まとめた値なのか、特定の成分の値なのかを確かめたい。同じポリフェノールの話でも、数字の指す対象が変わる。[4]

日常のラベルに分析方法まで書かれていなければ、色を量に換算せず、分かった範囲で選べばよい。淡い色から濃い色へ順番に並べる遊びはできても、その順番を健康の成績に変える必要はない。研究で見えた関係を知ることは、買い物のたびに食品を採点する義務を引き受けることではない。

数字で読むはちみつの色と成分

8試料・5つの蜜源:ルーマニアの探索研究で比較したはちみつの範囲である。[4]

179.26〜586.67 mg GAE/100 g:同研究の総フェノール量の範囲で、食べる推奨量ではない。[4]

r=0.86:同研究で色の機器測定値とFRAP法による活性の間に認めた相関である。[4]

22.1〜69.3 mg GAE/100 g:モロッコの花由来のはちみつを比較した研究の総ポリフェノール量である。[12]

4〜6倍:植物抽出物を加えた菜種はちみつで報告された抗酸化活性の変化であり、人の健康効果の倍率ではない。[7]

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宮川涼 Founder

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