ダイエットの間食の味噌汁はこして作る?残る粒と食物繊維の配分を考える

間食の味噌汁を作ったあと、こし器に残る粒まで食べるか迷う。粒の量だけで食物繊維や減量効果を判断せず、液体へ移る成分と残る固形物を分けて考える。しょうゆや豆類の実験で使われたろ過の条件を読み、家庭のこし器との違い、アレルギーに関する誤解、作り方を比べる際の着眼点を整理する。

味噌汁は椀に移ったのに、こし器の底には薄茶色の粒が残っている。捨てれば口当たりは好みに近づきそうだが、大豆のよい部分まで捨てる気もする。間食に飲む味噌汁なら、粒を戻すべきなのだろうか。

ここでの答えは、食感の好みと、成分の評価を別にすることである。「粒が残った」という観察だけで、食物繊維をどれほど取り除いたか、ダイエットに有利かまで決めない。豆のたんぱく質の実験では、同じたんぱく質でも塩の種類や濃度により溶ける状態が変わった。残った物の見た目を、そのまま成分表に置き換える読み方には無理がある。[2]

既存記事「間食の味噌汁は煮立てると栄養が減る?香りと成分を同じ物差しで測らない理由」には加熱と香りの問いを譲る。ここでは、こし器を通った汁と、手元に残った粒をどう捉えるかに焦点を絞る。食べやすい味噌汁を選ぶことと、研究で測られた成分を説明することを、同じ勢いで進めないための話である。

既存記事「間食のふすまは細かいほど働く?食物繊維の量と粒の大きさを分けて研究で読む」には粒径と便量・発酵の話を、「間食のあんこは粒あんとこしあんで違う?皮を除く加工と食物繊維の読み方」にはあんの加工と菓子全体の比較を譲る。こちらの問いは、味噌を汁へ溶いたあとに残す物と通す物を、成分の分離という観点でどう読むかである。

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粒の見た目は、食物繊維の測定値ではない

台所では、こし器の内側に残る物が目につく。汁の側は椀へ移り、固形物だけが道具の上にまとまるため、そちらに栄養が集中しているように感じることもある。だが、「固形物として目に見える」「特定の成分である」「その成分を多く食べた」は別々の問いだ。まずは、何がどちらへ移ったかを、成分ごとに考える必要がある。

豆を使う研究は、この区別を具体的に示している。ナタマメの主要な貯蔵たんぱく質であるカナバリンを調べた実験では、塩化マグネシウムや塩化カルシウムを加えた際、低い濃度では不溶性、高い濃度では可溶性となる性質が報告された。不溶性とは、その実験条件で溶けない状態を指す。たんぱく質も条件しだいで不溶性になるので、「溶けない物はすべて食物繊維」とは扱えない。[2]

さらに同じ実験で、塩化ナトリウムはカナバリンを不溶性にする作用を示さず、高濃度では塩化マグネシウムによって沈殿したカナバリンをほぼ完全に溶かした。塩という共通の呼び名でも作用は一律ではない。研究者が種類と濃度を書き分けるのには、このような理由がある。単に「塩を加えた」と縮めてしまうと、結果を決めた条件が抜け落ちる。[2]

これはナタマメの抽出物を使った基礎実験であり、18〜39歳の女性が味噌汁を飲んだときの食物繊維摂取量や体重変化に、そのまま当てはめることはできない。家庭の味噌汁に塩を加えて粒を操作する調理法として受け取る話ではない。大切なのは、分かれた先の姿だけから元の成分を言い当てないことだ。研究ではカナバリンがどの状態になるかを調べており、味噌こしの残りを食物繊維として量った実験とは目的が異なる。[2]

椀の底に沈んだ量を見て、今日の食物繊維は十分だったと採点する必要はない。逆に、粒を捨てた瞬間に栄養を台無しにしたと考える必要もない。この記事では粒を残す、戻すという作業を、食べ方の選択として扱う。食物繊維の摂取量を知りたいという問いには、粒の外見とは別の物差しが要る。こし器は台所の道具であり、そのまま分析装置にはならない。

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「ろ過した」という言葉の前後を読む

ろ過という言葉が論文に出てくると、家庭で味噌をこす操作と近く感じる。しかし、同じ言葉でも、対象となる液体、事前の処理、残したい物が違う。しょうゆ中の大豆アレルゲンを調べた研究では、発酵、加熱、ろ過という工程が検討された。アレルゲンとはアレルギー反応に関わる物質であり、この研究では大豆由来のたんぱく質が対象である。[1]

その実験では、発酵中に大豆アレルゲンが徐々に分解された一方、生のしょうゆでは完全には分解されなかった。その後の加熱で可溶性のアレルゲンが不溶性へ変わり、続くろ過で取り除かれた。著者らは発酵時の酵素による分解に加えて、加熱とろ過の重要性を示した。ここで読むべきなのは、ろ過の前に成分の状態を変える工程が置かれていたことである。[1]

最初から網に引っかかる物を捨てるだけの話ではない。研究の順序は、溶けていた成分が加熱によって状態を変え、そのあとで分離されるというものだった。この順序を省いて「こせば大豆成分がなくなる」と覚えると、論文が実際に調べた操作から離れてしまう。食品名だけでなく、工程を動詞で追うことが重要になる。[1]

この研究で用いられたのは、ウサギ由来の大豆たんぱく質に対する抗体と、大豆アレルギーのある子どもの血清である。抗体による検出を用いた食品分析であり、こした味噌汁を人に飲んでもらって安全を確かめた試験としては読めない。子どもの血清を使った検出結果を、18〜39歳の女性が家庭でこした味噌汁を飲む際の安全性に、そのまま当てはめることはできない。[1]

小鍋の湯に味噌を溶き、こし器を持ち上げる。そんな場面で工場や実験室の工程を再現したつもりになる必要はない。「通したから同じ」ではなく、「何を、どんな状態にしてから通したか」を見る。この視点を持つと、調理の好みを論文の効果で飾らずに済む。

液体側にも、調べたい成分が残る実験がある

こし器に残る側へ視線が集まると、通り抜けた汁の側は、成分を失った水のように扱われがちである。ところが、研究では液体側へ目的の成分を取り出し、その性質を調べる場合もある。大豆を含む豆類のアレルゲン抽出法を整える研究では、懸濁、一定時間の処理、遠心分離、ろ過、凍結乾燥を組み合わせて抽出物が作られた。[15]

この研究の目的は、豆類からアレルゲンを比較しやすい形で取り出すことだった。抽出液の条件を比べ、たんぱく質の種類や、抗体との結合、細胞を用いた反応を調べている。遠心分離は回転によって成分を分ける操作であり、凍結乾燥は抽出後の試料を乾燥させる操作である。家庭のこし器だけでは完結しない、複数の工程からなる試料作製であった。[15]

抽出研究で選ばれたのは、炭酸アンモニウムを使うpH9.0の緩衝液だった。緩衝液は酸性・アルカリ性の条件を保つための液であり、ここではたんぱく質を取り出すために用いられた。凍結乾燥の過程で緩衝液の成分が揮発する性質も、後の試験に使いやすい試料を作る点で評価されている。液体の条件と乾燥工程まで含めた設計であって、粒だけを取り去る操作の評価ではない。[15]

最適化された条件で作った抽出物には、主要なアレルゲンたんぱく質が保たれ、感作された人の免疫グロブリンEとの結合も確認された。免疫グロブリンEはアレルギーに関わる抗体である。さらに細胞を用いた試験でも機能的な反応が示された。対象は豆類の抽出物と感作された人の抗体を使う実験であり、18〜39歳の女性が飲む味噌汁への反応に、そのまま当てはめることはできない。ろ過を経ても、調べたいたんぱく質が抽出物に保持された実例である。[15]

しょうゆの研究では、加熱後のろ過で対象のアレルゲンが除去された。一方、豆類の抽出研究では、ろ過などを経てアレルゲンを含む試料が作られた。この違いは単純な矛盾ではない。材料も、処理条件も、目的も違うからである。「ろ過」という工程名だけで除去か保持かを決めず、何を検出したかまで読む必要がある。[1][15]

味噌汁に戻れば、粒を捨てたから大豆由来の成分をすべて捨てた、と考えるのも早い。反対に、汁に成分が移るなら粒は不要、と決めるのも飛躍になる。実験で分けた物と、食卓で分けた物を同一視しない。この距離感があれば、粒を残す派とこす派を、栄養の優劣で競わせずに済む。

数字で読む、分離を調べた実験の条件

大豆アレルギーのある子ども2人の血清を使用。しょうゆのアレルゲンを抗体で検出した研究の条件であり、摂食試験の人数ではない。[1]

4種類の緩衝液を比較。豆類のたんぱく質を抽出する際の条件検討であり、家庭の汁物の作り分けではない。[15]

抽出条件の酸性・アルカリ性の指標はpH7.1〜9.6。豆類の実験で比較した範囲であり、味噌汁に求める数値ではない。[15]

10種類の甘味料を分析。大豆製品の分析研究で測定対象とした化合物の数であり、味噌汁の粒に含まれる成分数ではない。[19]

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宮川涼 Founder

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