ストレス発散の料理は出来栄えで決まる?作れる自信と気分の変化を分けて読む

ストレス発散に料理をするなら、きれいに仕上げる必要があるのか。気分が低い成人の比較試験を軸に、栄養の変化、作れるという自信、誰かと取り組む時間を分けて読む。料理教室の研究や続ける際の障壁も確かめ、疲れた仕事帰りにレシピを選ぶ視点と、完成写真だけでは測れない手応えを考える。

フライパンから皿へ移す直前に、卵焼きが崩れた。写真で見た形にはならなかった。それでも、仕事のことを考えていた頭が、火を止めて皿に移すところまで戻ってきた。こうした夜の料理を、出来栄えだけで失敗と呼ぶ必要はあるのだろうか。

ストレス発散になる料理を、見た目の上手さで順位付けすることはできない。ただ、気分が低い成人を対象にした比較試験では、栄養改善を狙う条件だけでなく、栄養改善を伴わない料理の条件でも、待機群より気分が改善した。作れるという自信の変化も、気分の改善に関わる可能性が示された。[1]

したがって、レシピを探すときの問いは「何を作れば必ず気分が晴れるか」より、「今の自分が取り組める工程は何か」がよい。ここでは完成した皿、作業への自信、食べる内容を分けて考える。既存の「ストレス発散の運動は髪の検査で分かる?数か月のホルモンと気分を分けて読む」に身体の指標の話を譲り、台所での取り組みと気分の評価に焦点を置く。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

料理ができた感覚と、皿の美しさは分けて考える

「自己効力感」とは、食事を作るといった特定の目標を自分は達成できる、という信念である。料理の試験で注目されたのはこの感覚だ。人格全体への自信でも、どんな料理でも作れるという万能感でもない。「この献立なら進められそうだ」という、具体的な行動に向いた見通しである。[1]

出来栄えを考えるなら、見た目、味、工程を進められたかを別々に振り返ると分かりやすい。卵の形は崩れても、材料を出す、加熱する、食卓に運ぶところまでは自分で進められる。この分け方は日常での観察の提案であって、形の崩れた卵ほど心理的に有利だという研究結果ではない。研究が扱う「自分にできると思うこと」を、完成写真と取り違えないための視点である。[1]

料理の評価者を増やす必要もない。誰かに見せる皿を作りたい日と、自分の夕食を用意したい日では、引き受けたい課題が違う。仕事帰りに作る献立へ、休日のもてなしと同じ採点表を持ち込まなくてもよい。まず、どこまでできれば今日の食事として成立するのかを、自分の言葉にしておく。

この話は「自信さえ持てば気分が治る」という意味ではない。自己効力感の変化と気分の改善の関係は、後で紹介する試験の回帰分析、つまり複数の変化の関連を調べる分析から示唆されたものである。自信だけを操作して他の条件を同じにした結果とは区別したい。料理の心理的な働きを考える手掛かりにはなるが、原因をひとつに決める材料にはならない。[1]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

栄養を良くする条件と、料理に取り組む条件を比べた試験

中心となるランダム化比較試験は、気分が低い参加者112人を対象とした。参加者を偶然に任せて条件に分け、開始時と3週間後に気分を測った研究である。比較したのは、生鮮食品、缶詰・冷凍食品、料理、待機という4条件だった。[1]

生鮮食品の条件は栄養の改善を狙った。缶詰・冷凍食品の条件も栄養の改善を狙う一方で、食品が気分に良さそうだという期待を低くするよう設計された。料理の条件は食事を変えるが栄養改善を伴わず、待機群は介入を待った。この組み方の目的は、栄養以外に、活動への自信や効果への期待が結果へ関与する可能性を検討することだった。[1]

結果は、食事に関わる3条件すべてで、待機群に比べて気分が有意に改善した。一方、食事に関わる条件同士には差が認められなかった。「栄養改善を狙った条件だけが改善する」という並びにはならなかったのである。さらに回帰分析では、自己効力感の変化が気分の改善に寄与する可能性が示された。[1]

ここから、生鮮食品を使わないと料理の意味がなくなる、とは考えにくい。ただし、缶詰と生鮮食品の効果がいつでも完全に同じと証明されたわけでもない。有意差が見つからないことと、あらゆる状況で等しいことは違う。この試験は、新しい比較条件を予備的に検討した研究として読むのが適切だ。[1]

また、栄養は気分に無関係だという結論にもならない。この試験の重要な点は、食事を変える介入には、計画、買い物、調理といった活動が伴い、それらの心理的な影響も考慮する必要があることだ。栄養と気持ちを対立させるより、食生活を変えるときに同時に動く要素として見る方が、研究の問いに近い。[1]

日常に置き換えるなら、冷凍の材料を使った夕食と、食材をすべて下ごしらえした夕食を、手間の量だけで採点しなくてよい。どちらにも取り組む工程はある。ただし、この試験が比較したのは食事介入の条件であり、下ごしらえを省く量と気分の関係ではない。材料の便利さを、心理効果の強さにそのまま置き換えないことが大切だ。[1]

比較する相手が待機群であることにも意味がある。食事に関わる条件では、何かを始める予定があり、取り組む活動がある。待っている人と違いが生まれても、その差をすべて食品成分の作用と呼ぶのは早い。研究はまさに、活動への自信や期待を考慮した比較条件を作ろうとしたものだ。食事の研究を読む際には、食べ物の名前の隣に、参加者が何をしたのかも置いておきたい。[1]

また、この試験が測ったのは、介入前から介入後にかけての気分である。包丁を持った直後、加熱中、食後と細かく並べて、いつ切り替わったかを示す結果ではない。家庭で「切っているうちに落ち着いた」と感じることと、研究で気分が改善したことは、評価の時間幅が違う。自分の実感を大切にしながら、それを研究が証明した仕組みとして語らない距離が必要だ。[1]

実際に献立を選ぶ場面では、好きな料理と、今日作りたい料理を分けてもよい。休日なら生地から作りたいものが、帰宅後には重い課題になることもある。「自分は料理好きだから、今日も作るべきだ」と決める前に、材料を出してから食卓までの流れを思い浮かべる。研究でいう自信を日々の選択に使うなら、料理全体の得意不得意より、その日の具体的な課題へ目を向ける方が考えやすい。[1]

料理教室の気分の変化には、人と食事も含まれる

料理とストレスをより直接的に測った報告もある。心血管疾患のリスクを持つ成人が、オンラインの集団料理教室に毎週参加した研究である。植物性の食事を扱い、教室は8週間行われた。前後比較の対象は40人で、女性が75%、平均年齢は64.4歳だった。中高年が中心で心血管疾患のリスクもある集団のため、18〜39歳の女性に同じ変化を当てはめるには検証が必要だ。[2]

知覚されたストレス、つまり本人が感じるストレスは、介入後に19%減少した。研究では気分や健康関連の生活の質にも改善が報告され、活力・疲労と全般的な健康に関わる評価も改善した。ただし、19%という値はこの参加者集団の前後比較の結果であり、料理を始めるすべての人への見込み値ではない。[2]

試験全体は、オリーブ油の多い食事と少ない食事を扱うランダム化クロスオーバー試験であった。しかし、ここで取り上げる心理面の数字は、教室に参加する前と後を比べたものだ。料理教室に参加した群と参加しなかった群の差を、そのまま19%と読んではいけない。研究の呼び名だけで、個々の数字の比較相手まで決めないようにしたい。[2]

料理の手順を習うことに加え、集団への参加、食事の変化、人からの支えが同時に存在する。著者らも、社会的支援、健康状態の改善、食事の要因、料理に伴う心理社会的な影響を、利益に関わる可能性として挙げている。包丁を握った時間だけへ効果を割り当てることはできない。[2]

たとえば、オンラインで同じ料理を作る友人がいる場合、終わった後の会話まで楽しみにしているかもしれない。自分だけの夕食作りとは、過ごし方の中身が違う。どちらが上かを決めるのではなく、「作れたことがうれしい」「話せたことがうれしい」「食事を用意できて助かった」を書き分けると、自分が残したい時間が見えてくる。

数字で読む料理と気分

112人:気分が低い成人を、食事に関わる条件と待機群へ分けた比較試験の参加者数である。[1]

3週間:その試験では、開始時とこの期間を経た介入後に気分を評価した。[1]

40人:オンライン集団料理教室の研究で、心理面の前後比較に含まれた人数である。[2]

19%:その前後比較では、本人が感じるストレスがこの割合で減少した。[2]

56研究:料理と作業療法の関わりを整理したスコーピングレビューの対象数である。[3]

4週間:親子が一緒に取り組む地域の料理介入の期間である。[14]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約