ダイエットで食事を抜くなら朝か夜か。その前に、たんぱく質の一日量と食事への配分を分けて確かめたい。短期の断続的な食事制限と二食の比較試験を読み、筋肉の合成、全身のたんぱく質収支、長期の筋肉量を同じにしない考え方と、忙しい日の食事を振り返る手順を示す。
朝の食卓に出すはずだった卵とヨーグルトが、冷蔵庫に残っている。夜にまとめて食べれば帳尻が合うのだろうか。そこで気になるのが「食事を抜いた時点で筋肉も減るのか」である。答えは、食事の回数だけでは決まらない。たんぱく質量をそろえた短期の無作為化比較試験では、断続的な食事制限による筋肉の合成速度の低下は認められなかった。対象は過体重・肥満の中年男性で、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには対象が異なる。[3]
ただし、これは食事を抜くことへの推奨ではない。研究で量をそろえることと、忙しい日に食べ物ごと省くことは条件が違う。減量中の筋肉を考える際は、まず一日のたんぱく質総量、次に配分を確認する、という優先順位が研究を総合した見解で示されている。[2]
既存記事「ダイエットで食事を抜くと次の運動は変わる?補給と出せる力を分けて研究で読む」には運動時に出せる力の話を譲る。「たんぱく質は三食に分けるべきか 筋肉の合成と減量の結果が違う理由を知る」とも隣り合うが、ここでは欠食した日に総量まで減った場合と、残る食事へ移した場合を区別する。朝と夜の勝者を選ぶ前に、何が変わった食卓なのかを読む。

食事を抜くと、回数と総量が同時に変わりうる
欠食を振り返るとき、「朝を食べなかった」という記録だけでは食事全体を説明できない。夕食で普段と同じものを食べたのか、朝に食べる予定だったものも移したのか。生活の場面としては似ていても、食事回数だけを変える比較と、たんぱく質まで減らす比較は別の問いになる。総量をそろえた試験の結果を読むには、この違いを最初に置く必要がある。[3]
健康な成人や活動的な人・競技者を中心に、過体重・肥満の臨床研究も参照して減量食を検討した見解では、食事回数それ自体は体重や体脂肪の減少を決定的に左右する傾向にないとされる。一方、エネルギーを制限している期間に筋肉などの除脂肪量を保つうえでは、十分なたんぱく質と筋力トレーニングが重要で、配分は総量に次ぐ問題とされている。体重の話と筋肉を保つ話でも、見るべき条件は同じではない。[2]
「回数が少なくてもよい」という一部分を、「食べる中身は何でもよい」に置き換えることはできない。また、配分が二次的な関心だからといって、無関係という意味でもない。この見解は、活動的な人や競技者の持続的なエネルギー不足では、たんぱく質を含む食事機会を一日に少なくとも3回に分けることが、除脂肪量の保持や運動能力を最適化する可能性にも触れている。活動的な人や競技者についての見解を、18〜39歳の女性全員へ同じ食事回数の指示として当てはめることはできない。[2]
ここでの数字は、読者全員に同じ食事回数を命じるものではない。研究を日常に移すなら、「抜く食事を決める」より「予定していた食べ物が一日全体から消えていないかを見る」という順序になる。通勤前の食卓と帰宅後の食卓を別々に採点せず、つながった献立として眺める。その視点が、回数と総量を取り違えないための出発点である。[2][3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
総量をそろえた短期試験では、合成速度は低下しなかった
直接参考になるのは、過体重または肥満の中年男性27人を対象とした無作為化比較試験である。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この男性の試験だけでは判断できない。平均年齢は44.6歳。食事を管理した10日間について、日ごとに摂取エネルギーを変える群、毎日同程度に制限する群、エネルギーを維持する対照群を比較した。たんぱく質の摂取量をそろえた点が、この問いでは特に重要である。[3]
日ごとに変える群は、必要エネルギーに対して25%の日と100%の日を交互に置いた。毎日制限する群は62.5%、対照群は100%であった。つまり、ここでいう断続的な食事制限は、食べない時間を自己流で長くする実験ではない。エネルギーの設定とたんぱく質量を管理した比較である。[3]
筋肉のたんぱく質合成速度は、断続的に制限した群で一日あたり1.18±0.13%、継続的に制限した群で1.13±0.16%、対照群で1.18±0.18%で、群間に有意差はなかった。これらは筋肉量がその割合で毎日増えるという数字ではなく、筋肉のたんぱく質が新しく合成される速度の指標である。[3]
この結果は、「食事の間隔が長くなれば、総量が同じでも短期間に必ず合成が低下する」という断定を支持しない。しかし、対象は中年男性であり、朝食を抜きがちな若い女性の日常をそのまま再現したものでもない。10日間の合成速度から、長期の筋肉量や、総量まで減らした食事の結果を決めることはできない。短期の安心材料と長期の保証は分けて受け取りたい。[3]
試験では制限した群の体重減少は対照群より大きかったが、それと合成速度に差がなかったことは別々の結果である。体重が変わったから筋肉の合成も同じ方向へ変わった、と読み替えてはいけない。体重計が示す変化と、研究で測る筋肉内部の動きは、同じ目盛りではないのである。[3]
実生活で比較を考えるなら、平日の自分と休日の自分を思い浮かべると分かりやすい。出勤日は食べる機会を逃し、休日は座って食べる時間を取れる。その違いをすぐ筋肉の結果に結び付けるより、まず食事の中身を書き出す。研究ではたんぱく質量をそろえて初めて、エネルギーの取り方が違う条件を比較できたからである。食べなかった事実だけを取り出すと、その大切な前提が抜け落ちる。[3]
もう一つ、群間に有意差がないという結果は、あらゆる人で完全に同じ反応になるという宣言ではない。試験では合成速度を群ごとに比較しており、参加者の条件と観察期間の中で低下が認められなかったと読む。夕食後に記事を読んで、今朝を取り返せないと焦る必要はないが、その結果を理由に明日から食事を省く計画を立てるのも飛躍である。判断の土台は、食事全体を把握することにある。[3]
二食の試験は「合成」と「収支」の違いを教える
中高年の成人30人、平均年齢61歳を対象とした別の無作為化比較試験は、一日のたんぱく質量を変えた。食事は9時間の範囲に収めた2食で、摂取量は体重あたり一日0.8、1.1、1.5 g/kgの群に分けられた。24時間の代謝試験で、筋肉と全身のたんぱく質の動きを測定している。中高年を対象とするため、18〜39歳の女性でも同じ結果になるかは別に確かめる必要がある。[5]
筋肉のたんぱく質合成は、どの群の間にも有意差がなかった。一方で、全身の正味たんぱく質収支は1.5 g/kgの群で、0.8、1.1 g/kgの群より良好だった。正味収支とは、作られた量と分解された量の差を見る指標である。「合成に差がない」と「たんぱく質量による差がまったくない」は同じ意味ではない。[5][12]
1.5 g/kgの群と0.8 g/kgの群の正味収支の平均差は、除脂肪量あたり一日0.55 g/kgで、95%信頼区間は0.17〜0.93だった。これは体重あたりの摂取量とは分母が異なる。数字の単位を飛ばして、「多く食べれば同じだけ筋肉が増える」と受け取ることはできない。[5]
この試験が比べたのは、二食という枠の中でたんぱく質量が違う場合である。二食と三食の優劣を直接決めた試験ではない。さらに、全身の収支の改善は、筋肉だけが増えた証拠とは区別する必要がある。食事回数、食べた量、測った部位、観察した時間を順に読むと、見出しだけでは消えてしまう条件が見えてくる。[5]
例えば、夕食に移したことで一日の量を保った人と、夕食の量も変わらず朝食だけ消えた人に、同じ「二食」のラベルが付くことはある。しかしこの試験から借りられるのは、そのラベルより総量を確かめる視点である。試験の摂取量をそのまま自分の処方にするのではなく、二食なら量の違いは無視できる、という読み方を避けたい。[5]
全身の収支と筋肉の合成が違う方向の結果を示すことは、測定が役に立たないという話ではない。それぞれが別の面を見ているのである。家計で入金額を見ることと、入金から支出を差し引いた残りを見ることが異なるように、合成と収支も問いが違う。ただし体の収支は財布の残高とは異なり、全身の結果を筋肉だけの貯蓄へ換算することはできない。この区別を保つと、二食の試験を食事回数の宣伝に使わずに読める。[5]
数字で読む食事回数とたんぱく質
27人:たんぱく質量をそろえた、過体重・肥満の中年男性の無作為化比較試験の対象者数である。[3]
10日間:断続的な制限と毎日の制限で、筋肉の合成速度を比較した期間である。[3]
1.18%/日:断続的に制限した群の平均合成速度で、対照群との有意差はなかった。[3]
30人・24時間:二食の中でたんぱく質量を変えた、中高年成人の代謝試験の規模と時間である。[5]
0.8、1.1、1.5 g/kg/日:二食の試験で設定された摂取量であり、全読者への推奨値ではない。[5]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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