体力をつける練習の口すすぎは甘くなくてもよい?糖の感知と走る力を読む

体力をつける運動の口すすぎは、甘さが強いほど役立つのか。甘くない糖質液と水、味を合わせた比較液の研究を読み、走る速さや自転車の成績、筋力の変化を分けて考える。改善した試験と差がなかった試験の条件から、糖の感知を日々の練習へどう位置づけるかを確かめる。

走る前に口をすすいで吐き出す。その液体は、甘くなくても役立つのか。甘い方が走れそうだが、口をすすいで吐き出すだけでも違うのか。しかも甘くない液体なら、何を感じ取っているのか。味の濃さと運動の力は、同じ目盛りでは測れない。

答えの芯は、甘く感じることだけでは説明できない反応が研究されている、ということだ。男性サイクリストを対象に、無味のマルトデキストリンという糖質を使った自転車試験では、運動後の筋力低下が小さくなった。ただし、自転車をこぐ成績そのものは改善しなかった。この結果を18〜39歳の女性の運動成績に当てはめるには、女性での検証が必要だ。[6]

既存記事「体力をつける運動の糖質口すすぎは何秒?5秒と10秒の比較で分かる限界」には、すすぐ時間の問いを譲る。ここで比べたいのは、甘さ、糖質の有無、そして測った運動成績である。甘くない糖質液の試験を読むことで、飲み物の味から体力を推測する癖をいったん外したい。[3][6][8]

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甘くない糖質液でも、反応は調べられている

糖質口すすぎは、糖質を含む液体を口に含んでから吐き出す条件を、比較用の液体などと比べる研究の方法である。飲み込んで栄養を取る場面とは区別して読む必要がある。男性サイクリストを対象とした試験では、マルトデキストリン液を口に含んで吐き出す条件が、味を合わせた比較液よりも短い完走時間につながった。18〜39歳の女性に同じ改善が生じるかは、男性の結果だけでは判断できない。[8]

ここで気になるのが、マルトデキストリンである。無味の糖質液として使われた研究では、男性サイクリスト9人が、45分の運動に続いて15分のタイムトライアルを行った。タイムトライアルとは、一定の時間や仕事量に対して、どれだけの成績を出せるかを測る課題だ。この試験では無味の6.4%液と水を比べている。18〜39歳の女性にも同じ筋力の反応が生じるかは、別に確かめる必要がある。[6]

運動後に自分の意思で出せる最大の膝伸展力は、水の条件で20±10%低下し、糖質液では12±8%の低下だった。ところが、タイムトライアルの平均出力は両条件とも248 Wだった。筋力低下を和らげる反応と、自転車の出力を高める反応は、別々に扱わなくてはならない。[6]

この結果からは、「甘さを感じなければ、口すすぎには何の反応もない」という断定はできない。一方で、「甘くない糖質なら必ず走れる」という逆の断定もできない。研究が示したのは、特定の男性サイクリストの課題で、運動後の筋力低下に差があったという範囲だ。甘いかどうかの感想を、成績表の代わりに置かないことが出発点になる。[6]

生活では、味の強いものほど効きそうに見える。汗をかいた帰り道には、なおさらそう感じるかもしれない。しかし、味が薄い液体と糖質を含まない液体は同じではない。この区別をしないと、甘くない研究液を水と同じものだと思い込んだり、甘い飲み物をすべて同じ条件だと扱ったりする。口すすぎの試験では、液体の名前より中身と比較相手を読む必要がある。[6][8]

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甘さの比較には、相手の液体が重要である

味を合わせた比較液は、糖質のある条件だけを特別な味として見分けにくくするための比較である。男性サイクリスト11人を対象にした無作為化試験では、一晩の絶食後に、7%または14%のマルトデキストリン液と、味を合わせた比較液を使った。参加者は約1時間の自転車課題を行い、途中で繰り返し口をすすいだ。18〜39歳の女性への適用は、この男性集団から直接判断できない。[8]

完走時間は7%液で57.3±4.5分、14%液で57.4±4.1分、比較液で59.5±4.9分だった。糖質液の両条件は比較液より速かったが、糖質濃度を上げた条件同士では差がなかった。味を合わせても成績に差が出たこの試験は、単なる甘さの強さだけで説明することの難しさを示す。ただし、糖質液の味を個々の参加者がどう感じたかと、濃度そのものは分けて考えたい。[8]

別の見方を与えるのが、筋力トレーニング経験のある男女36人のクロスオーバー試験だ。クロスオーバーとは、同じ参加者が複数の条件を経験する比較方法である。水、糖質を含まない比較液、6.4%マルトデキストリン液を使い、ベンチプレスで疲れるまで行った反復回数を測った。[16]

反復回数は水で17.7±0.8回、比較液で19.0±0.7回、糖質液で18.7±0.8回だった。比較液と糖質液は水より多かったが、両者の間には有意差がなかった。研究者は、反復回数にはプラセボ効果が存在したと評価している。糖質液と水だけを並べたら見え方が変わるが、比較液まで含めると糖質特有の効果は検出されなかったのである。[16]

同じ「口すすぎで回数が増えた」という紹介でも、水と比べたのか、味を整えた比較液と比べたのかで意味が変わる。水に勝った結果だけを見て、糖質を口で感知したためだと決めつけるのは早い。逆に、この筋力試験を理由に、別の自転車試験で起きた差までなかったことにはできない。比較相手と運動課題を組にして読む姿勢が要る。[8][16]

走る研究では、濃くしても速くならなかった

走る人にとって、自転車の結果だけでは実感しづらい。そこで、健康な男女15人が陸上トラックで5 kmを走った無作為化試験を見る。男性9人、女性6人で、平均年齢はそれぞれ42歳、43歳だった。使ったのは糖質濃度0%、3%、6%、12%の液体で、スタート直前と走行途中に口すすぎを行った。女性も含むが平均年齢は読者層より高く、18〜39歳の女性だけの成績を表す結果ではない。[3]

完走時間は、糖質0%で26分34秒、3%で27分17秒、6%で27分05秒、12%で26分47秒だった。各値は条件ごとの平均で、条件間の差は統計的に有意ではない。心拍数、運動のきつさ、血糖、血中乳酸にも有意差は認められず、糖質濃度に応じた走行成績の改善は示されていない。[3]

この数字を見て、糖質0%が最速だから糖質は走る邪魔になる、と読むのも誤りである。平均の順番と、条件による違いが確かかどうかは別の話だ。研究が結論づけたのは、このトラック走行では糖質液の優位性がなく、濃度に応じた改善もなかったことである。平均値の順位だけで飲み物の順位表を作らない方がよい。[3]

自転車で改善した試験と、走って差がなかった試験が並ぶ。これは矛盾を隠す理由ではなく、使える場面を狭く考える理由になる。試験の参加者も、運動の種類も、食事条件もそろっていない。甘くない糖質液を知ったことと、自分のいつもの散歩やジョギングに必要だと判断することの間には、距離がある。[3][8]

研究の濃度は、味の好みを選ぶためのおすすめ表ではない。濃い液体ほど効くと予想しても、走行試験ではその関係が出ず、自転車の改善例でも濃度を倍にした追加の利益はなかった。ラベルの数字を大きくすることと、脚が前に進むことは別会計である。[3][8]

走行試験で、液体はスタート前と各1 kmの後に25 mLを10秒間すすぐ形で使われた。つまり、糖質の濃度を比べた結果は、決まった量とタイミングのもとで得られている。途中で好きな飲み物を飲んだ結果や、走り終わってから飲んだ感想ではない。口に触れた条件をそろえても改善が確認されなかった点が、この研究の問いに対する答えになる。[3]

対して、自転車の改善例では、設定された仕事量が一定の割合だけ進むごとに口すすぎを行っていた。参加者は液体を飲み続けていたわけではない。こうした手順ごとに読むと、同じ濃度の液体を用意するだけで試験と同じ状況になるとは考えにくい。朝の通勤前の短い運動と、絶食後に記録を出す課題を、液体の成分だけでつなぐことは避けたい。[8]

また、きつさを数値化した自覚的運動強度は、実際の出力とは別に測られていた。自転車で完走時間が短くなった試験でも、きつさには条件間の有意差がなかった。成績が上がれば必ず楽に感じる、という話ではない。帰宅後のメモに「今日は楽だった」と残したときも、それだけで糖質液の作用を確かめたことにはならない。[8]

数字で読む甘さと口すすぎ

9人:無味の糖質液と水を比較した男性サイクリストの人数。運動後の筋力低下には差があった。[6]

248 W:同じ試験のタイムトライアル平均出力。糖質液と水で同じ値だった。[6]

57.3分と59.5分:絶食後の自転車課題で、7%糖質液と味を合わせた比較液を使った完走時間の平均。[8]

15人:濃度を変えて5 kmを走った男女の人数。完走時間に有意差はなかった。[3]

18.7回と19.0回:男女のベンチプレス試験で、糖質液と糖質を含まない比較液を使った反復回数の平均。両者に有意差はなかった。[16]

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