夜の運動でお腹すくと翌朝の好みも変わる?起床から食べたい物までを読む

夜の運動でお腹がすくと、翌朝も甘いものが欲しくなるのか。翌朝の食品への欲求を測った比較試験を軸に、直後の空腹、食品の好み、実際に食べた量を分けて読む。睡眠と起床からの時間、運動の種類や対象者で変わる結果を確かめ、夜から朝の自分の変化を決めつけずに見る手がかりを示す。

運動着を洗濯かごに入れながら、明日の朝食のパンを思い浮かべる。いまお腹がすいているのは分かる。では、この夜の運動で、翌朝に食べたくなる物まで変わるのだろうか。

そのパンが気になる理由を、前夜の運動だけで説明する根拠はまだない。若い男女14人が有酸素運動、筋力運動、座って過ごす条件を比べた無作為化クロスオーバー試験では、翌朝の食品への「欲しい」という反応に条件間の差はなかった。睡眠の指標にも差はなかった。[4]

この試験が直接比べたのは運動の条件と翌朝の反応である。夜という時刻自体の作用は、ここでの比較から切り分けられない。[4] 既存記事「食欲を抑える運動はHIIT?甘いものの好みと空腹感を分けて研究で読む」には運動強度の問いを譲り、ここでは帰宅後から翌朝まで、いつ何を測ると話が変わるのかに焦点を絞る。

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お腹がすくことと、パンを選ぶことは別である

食欲という言葉で、空腹も、おいしそうという評価も、実際に食べる量もまとめてしまいやすい。運動と食の報酬を扱ったナラティブレビューでは、食の報酬を、快さに関わる「好き」と、手に入れようとする動機に関わる「欲しい」を含む枠組みとして整理している。食べ物にどれほど引かれるかを、食べた量と区別して考える道具である。[9]

たとえば、食卓にご飯もパンもあれば食べたいが、お腹が満たされた後でも特定のお菓子だけは魅力的に見える、という場面を想像すると分けやすい。ここで知りたいのは、その食品を好む評価なのか、目の前で選びたくなる気持ちなのか、食事全体の量なのかである。研究でも、食品の画像を使う課題と、自由に食べられる食事の摂取量は別々に測られている。[2][14]

健康な若い男性を対象にしたランニング試験では、食品の脂肪の多さと甘さを分け、好きと答える評価、欲しいと答える評価、課題で捉える潜在的な欲求、選択の頻度を調べた。同じ「食べたい」の中でも、何を聞き、どう選ばせるかが違う。潜在的な欲求とは、本人の言葉による評価とは別に、食品選択の課題で捉える欲求の指標である。男性を対象とした結果なので、18〜39歳の女性への適用は別に検証する必要がある。[14]

帰宅時に甘い物を思い浮かべただけで、「運動した分を全部食べてしまう」と先回りする必要はない。食品への引かれ方が変わったことと、実際の摂取量が増えたことは同じ結果ではない。水泳を調べた比較試験では、食べる量は増えても、食品の好みや報酬の指標には対照条件との差がなかった。このずれこそ、空腹を単独で採点しない理由になる。[2]

また、「高脂肪食品より低脂肪食品を選びたくなった」は、食卓にある全食品への欲求が弱まったという意味ではない。比較しているカテゴリー同士の相対的な偏りである。甘い食品と甘くない食品の比較でも同じだ。脂肪と甘さの軸を別々に調べた研究を、甘い物全般への欲求が消える話に縮めると、結果を取り違える。[14]

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翌朝の試験では、起きてからの時間が鍵だった

翌朝への持ち越しを考えるうえで中心になるのが、平均年齢21.9歳の男女14人を対象にした試験である。同じ参加者が有酸素運動、筋力運動、運動をしない対照条件を経験した。順番を無作為に決め、個人の違いだけで結果が決まらないようにするクロスオーバーという設計だ。[4]

運動の目標消費量は体重当たり4 kcal/kgにそろえ、有酸素運動は最高酸素摂取量の70%、筋力運動は1回だけ持ち上げられる最大重量の70%で行った。その後22時間の睡眠を加速度計で測り、翌朝には食品の視覚刺激に対する「欲しい」という反応をコンピューター課題で評価した。運動条件間で睡眠や食品への欲求に差は認められなかった。[4]

興味深いのは、睡眠が短くなった回や起床が早かった回ほど、食品への欲求が増える関連が見られた点だ。しかし、起床から課題までの経過時間を調整すると、その関連は有意ではなくなった。睡眠だけが翌朝の欲求を動かした、と読むのは行き過ぎになる。目覚めてから測定までの長さが、その関連を説明する要素だった。[4]

生活で置き換えるなら、目覚めてすぐ朝食を選んだ日と、身支度や通勤準備を済ませてから選んだ日を、単に「運動した翌朝」として比べない、ということだ。同じ朝でも、起床後の経過が違えば比較する条件はそろわない。この記録の工夫は欲求を減らす方法ではなく、何が起きたかを取り違えないための工夫である。[4]

ここで「差がない」は、運動と対照で完全に同じ反応が証明されたという意味ではない。小規模な試験で、調べた条件の間に差を認めなかった結果である。反対に、関連があったという部分だけを抜き出し、「早起きすると甘い物が欲しくなる」と言い切るのも違う。調整後に関連が残らなかったところまで含めて、この研究の答えなのだ。[4]

そして測ったのは翌朝の食品への欲求であり、夜に感じた空腹そのものでも、朝食の摂取量そのものでもない。夜の空腹から翌朝の好み、さらに朝食の量へと一直線の物語を作る前に、結果が届く地点を確認したい。朝食の皿は、前夜の運動の成績表ではない。[4]

直後の好みは変わる試験も、変わらない試験もある

翌朝の話と比較するために、運動直後の結果も見よう。健康な若い男性14人、平均年齢23歳の無作為化クロスオーバー試験では、最大酸素摂取量の70%で30分走る条件と座って休む条件を比べた。走った条件では、高脂肪食品への相対的な欲求や好みが低下する一方、甘くない食品に対する甘い食品の潜在的な欲求や選択の偏りは高まった。18〜39歳の女性にも同じ方向の変化が起こるかは、この男性の試験だけでは判断できない。[14]

つまり、「食の報酬が一律に下がった」という結果ではない。脂肪の軸では低脂肪側へ、味の軸では甘い側へ動いた。甘い側への偏りは、食事全体への欲求の増加とは区別する必要がある。評価した側面によって、同じ運動の説明が逆に聞こえてしまう例である。[14]

一方、運動習慣の乏しい健康な成人20人、平均年齢21歳を対象とした試験では、40分の自転車運動を比較した。強度は最高出力の50%と20%である。運動後は低脂肪に対する高脂肪食品、甘い物に対する甘くない食品の潜在的な欲求が高まり、強度による違いはなかった。実際の食事の絶対的な摂取量にも強度間の差はなかった。[11]

先ほどのランニング試験とは、好みが動いた方向が逆である。ただし、自転車試験は運動強度同士の比較であり、走る試験のように運動しない条件と比べた結果ではない。対象者の運動習慣も、運動の種類も異なる。片方が正しく片方が誤りなのではなく、同じ問いとして束ねるには条件が違うのだ。[11][14]

運動と食の報酬のレビューも、短期の作用は強度、種目、時刻、食事の条件、体組成などで方向や大きさが変わりうると整理している。研究対象や測る報酬の側面がばらばらであることも課題に挙げている。したがって、走った直後の食品選択を、そのまま夜のヨガの翌朝に移すことはできない。[9]

ここで、夜の生活に答えを持ち帰るときの順序を整理しておきたい。まず、研究が運動直後を測ったのか、翌朝を測ったのかを読む。次に、比較相手が安静なのか、別の強度の運動なのかを見る。そのうえで、食品への欲求、空腹、摂取量のどれに差が出たのかを確かめる。翌朝の試験、ランニング試験、自転車試験は、この組み合わせがそれぞれ異なる。[4][11][14]

たとえば、夜に動いた翌朝に甘いパンを選んだという経験があっても、それだけでは前夜の運動で好みが変わったとは判断できない。比較する朝の条件をそろえた試験でさえ、運動条件による翌朝の欲求の差は認められなかった。本人の経験を否定するための結果ではなく、経験の理由を急いで決めないための結果である。[4]

また、運動後に高脂肪食品への欲求が高まった自転車試験も、翌朝までその変化を追った結果ではない。前後で変わった指標を見つけることと、その変化が睡眠を越えて残ることを示すのは違う作業になる。今夜の感覚について参考になる知見と、明朝を予測できる知見は、同じ引き出しに入れない方がよい。[11]

数字で読む、運動後と翌朝の距離

14人:有酸素運動・筋力運動・対照を比べ、翌朝の食品への欲求に条件間の差を認めなかった男女の試験である。[4]

22時間:同じ試験で運動条件の後に睡眠を測った期間であり、食品への欲求は翌朝に評価した。[4]

30分:若い男性のランニング試験で行った運動時間。低脂肪側と甘い側への偏りが同時に見られた。[14]

20人:自転車の強度を比べた成人の試験。高脂肪側と甘くない側への潜在的な欲求が運動後に高まった。[11]

12週間:肥満のある成人の継続試験で、空腹感は増えても食品の好みや報酬に変化を認めなかった介入期間である。[3]

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