ダイエットのごまはすった方がよい?粒の形と脂の消化を分けて研究で読む

ごまはすれば栄養を余さず吸収できるのか。ダイエットの食事で気になる粒ごまとすりごまの違いを、食品加工と試験管内消化の研究から整理する。粒の細かさ、油の分離、発酵による脂の分解を分けて読み、吸収率の決めつけを避けながら、料理への使い方と保存の考え方を確かめる。

冷ややっこに粒ごまを振ったあとで、「すらないと栄養が取れない」と聞いたことを思い出す。もう箸を持っているのに、すり鉢を出すべきか迷う。食事の栄養バランスを意識するほど、こんな小さな選択にも正解が欲しくなる。

答えの芯は、すればごまの構造や油のまとまり方は変わるが、それだけで人の脂の吸収率やダイエットの成否まで決まるわけではない、ということだ。ごまペーストの粉砕実験は粒径や油の分離を、発酵したごまの消化実験は試験管内での脂の分解を調べている。測っているものをそろえて読む必要がある。[4][6]

すりごまを料理になじませる選択はできる。ただし、「粒のままなら無意味」「すれば全部吸収」という二択にする必要はない。加工と消化の研究から考えられることを、食卓での使いやすさにつなげていこう。[2][4][6]

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ごまをする話は、まず何を測ったかで分かれる

ごまを細かくする研究には、見た目の粒の大きさを調べるもの、ペーストの硬さを比べるもの、油が上に分かれる様子を測るものがある。これらは食品としての性質を知る研究だ。体内で利用された脂の量を測る研究と同じ意味にはならない。粉砕方法を比べた実験では、粒の分布と口当たりに関係する物性が変わっていた。[4][5]

ここでの「物性」とは、硬さや流れやすさなど、食品の物理的な性質を指している。ごまペーストでは、粉砕機や加工時間が変わると粒の大きさだけでなく、硬さやたんぱく質の状態も変化した。細かくするという操作は、食品の内部を組み替える作業でもある。[5]

一方、脂の消化に近い問いを扱った研究では、ヒラタケを用いて発酵させたごまとチアシードを乾燥・粉砕し、試験管内で消化させた。その中で測ったのが脂の分解である。発酵品で分解が高まったという結果は重要だが、家庭で粒ごまをすっただけの比較とは条件が違う。対象は食品と試験管内の消化であり、18〜39歳の女性が食べたときの脂の吸収率へそのまま当てはめることはできない。[6]

朝のごま和えを考えるときにも、この区別が役に立つ。「舌に粒を感じないほどなめらかだ」という感想と、「人が吸収した脂が増えた」という測定結果を混ぜないことだ。料理の仕上がりは口で確かめられるが、吸収率は口当たりから読み取れない。[5][6]

隣接する「ダイエットのもち麦は粒を残す方がよい?穀物の形と食後の糖の変化を読む」は穀物と食後の糖の問いに譲り、ここではごまの粉砕と脂の挙動に絞る。また、ごまを炒る条件と成分の変化は別の記事の題材であり、すり方の答えに香ばしさの話を混ぜ込まない。

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細かくすると、油が離れにくくなる場合がある

石臼でごまペーストを加工した食品実験では、粉砕回数を1回から3回へ増やすと、粒径の中央値が85 μmから74 μmへ小さくなった。中央値とは、ここでは粒の大きさを代表する指標である。あわせて、遠心力をかけて測る油の分離率が9.05%から6.82%へ下がっていた。[4]

この結果は、すったごまの中で油とほかの成分がどう存在するかを考える手がかりになる。顕微鏡による観察でも、3回粉砕したペーストは、たんぱく質と油がより均一に分布していた。油が細かい粒とともにまとまり、分かれにくい食品になったと読める。[4]

しかも、変わったのは粒径だけではない。たんぱく質の構造の一部であるβシートの割合が52.92%から56.34%へ増え、油と水のようになじみにくいものを混ぜて保つ性質にも変化があった。著者らは、石臼によるたんぱく質の構造変化がペースト内部の状態を変え、油の分離に影響すると結論している。[4]

瓶の上に油が浮くかどうかは目立つ。しかし、その見た目は体の中で脂がどれほど吸収されるかを示す目盛りではない。この実験の分離率は、遠心力をかけた条件での品質指標だ。9.05%と6.82%を、粒ごまとすりごまの吸収率として言い換えることはできない。[4]

家庭では、ごまだれをなめらかにしたい、ごま和えを具に絡めたい、といった目的で使う形を選べばよい。食品内部の分布が変わるという研究を、用途の違いを理解する助けにするのである。研究室の遠心分離機を、夕飯の採点係にする必要はない。[4]

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細かさと油のまとまりは、別々に変わる

同じ石臼の実験には、単純な「細かいほどよい」を止める結果もある。粉砕を5回に増やすと粒はさらに細かくなった一方、油の分離率は7.78%へ上がった。βシートの割合も51.00%へ変わり、3回加工した場合と同じ状態がそのまま強まったわけではなかった。[4]

つまり、粒を小さくする変化と油を分かれにくくする変化は、いつも並走しない。食品全体の性質は、粒径とたんぱく質の構造、油との関係が重なった結果として現れる。実験では3回粉砕したペーストの油分離率が約25%低下し、120日の保存でも油の分離が少なかったが、これはその加工条件での成果である。[4]

別の食品比較実験では、ボールミルとコロイドミルという粉砕装置でごまペーストを作っている。ボールミルの試料は、比較対象より粒が小さく、粒径の分布が均一だった。また、よりなめらかな食感に関係する性質を示し、硬さにも装置や粉砕時間による違いがあった。[5]

この研究では、高速での切断や衝突によって、たんぱく質をつなぐ結合が切れ、たんぱく質が構成単位へ分かれる変化も見られた。同じごまを細かくしていても、加わる力や時間が違えば、出来上がる食品の状態にも差が出る。[5]

石臼の加工回数は、すりこぎを動かす回数とは別の条件だ。市販のすりごま、家庭ですったごま、工業的なごまペーストを比較するときは、名前の近さより加工条件の違いを見る方が正確である。[4][5]

家庭ですり鉢やすり器を使うなら、途中で手を止めて粒の残り方を見よう。ごま和えなら、調味料と合わせた衣を具に絡め、欲しい歯触りが残っていればそこで止める。ざらつきを減らしたいときは、さらにすってから混ぜ直し、仕上がりを確かめる。これは調理上の目安であり、栄養吸収が最大になるすり加減を定めたものではない。粉砕で粒径や食感が変わるという食品実験を、料理の目的に合わせて使う考え方だ。[5]

脂の分解が増えた研究には、発酵という条件がある

消化に関わる研究の中心は、ヒラタケによる固体発酵を行った種子の実験だ。固体発酵とは、この研究ではごまやチアシードを基質として菌を働かせる加工であり、その後に乾燥と粉砕を行っている。ごまをすり鉢で崩す操作だけを取り出した実験ではない。[6]

発酵後の製品では脂質とたんぱく質の含有量が増え、脂肪酸の構成にも変化があった。続いて試験管内で消化させ、核磁気共鳴という分析法で脂の分解を測定すると、ごま製品はチアシード製品より高く、発酵品は対照品より高い値を示した。[6]

同時に、発酵によって粒が小さくなり、食品の成分を取り囲む構造の崩れが進み、消化液を含む混合物の粘りが低下していた。これらの変化は脂の分解の増加と関連していた。脂の消化を考えるには、粒径だけを見るより、食品を包む構造や周囲の流れやすさにも目を向ける必要がある。[6]

ただし、関連した変化がいくつもあるとき、増加分をすべて粉砕のおかげにすることはできない。発酵、乾燥、粉砕を経た製品で起きたこととして読むのが妥当だ。この結果から、人の食事でごまをすれば脂の吸収が何倍になる、と計算する道筋はない。[6]

この実験で分けておきたいのは、食品に含まれる量と、消化の過程で起きる変化である。発酵後の製品で脂質の含有量が増えたことと、消化させたときの脂の分解が高まったことは、別々の測定結果だ。「栄養が増えた」という短い言葉で表すと、どちらを指すのか分からなくなる。[6]

さらに、ごまとチアシードの違いも、発酵の有無の違いと分ける必要がある。ごま製品の分解が高かったという種子間の比較だけを見て、発酵による効果の大きさと取り違えないことだ。同じ図や説明に登場する結果でも、何と何を比べた値なのかで答えられる問いが変わる。[6]

この読み分けを食卓へ戻すなら、すりごまを使う理由を具体的な言葉にするとよい。「脂の吸収を最大にするため」ではなく、「青菜に衣をまとわせたいから」と決める。粒の状態を変える技術が食感や流れ方を変えるという食品実験なら、その目的と研究の話がつながる。数字を大きく見せるより、使う理由を小さく確かにする方が料理には役立つ。[4][5]

数字で読むごまの粉砕

粒径の中央値85→74 μm:石臼の粉砕を1回から3回に増やした食品実験の値である。[4]

油の分離率9.05→6.82%:同じ実験での遠心分離による評価であり、消化率ではない。[4]

油の分離率7.78%:5回粉砕では再び増え、細粒化だけでは品質を説明しきれなかった。[4]

保存120日:3回粉砕のペーストで油の分離が少なかった観察期間であり、家庭での保存期限ではない。[4]

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