筋肉痛の日にアルコールで回復は遅れる?痛みと戻る筋力、筋肉の合成を分けて読む

筋肉痛の日のお酒は、翌日の痛みだけで判断できるのか。運動後の飲酒で筋力低下が大きくなった男性の試験と、差が見られなかった女性の試験を比較する。飲酒量や測定時刻、運動の種類を確かめ、痛み・筋力・筋肉の合成を分けて、次の運動と会食の予定を考えるための読み物である。

階段を下りると太ももが痛い。昨日は久しぶりに脚を使ったのに、今夜は友人との会食で乾杯する予定がある。お酒を飲むと筋肉痛が長引くのか、それとも痛みが同じなら気にしなくてよいのか。

答えの芯は、運動後の飲酒で戻る筋力が不利になった試験はあるが、すべての人で同じ結果ではない、である。強い脚の運動を行った男性では筋力低下が大きくなり、女性の小規模な比較試験では飲酒による回復の差が見られなかった。男性の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめず、対象と量と測ったものをそろえて読む必要がある。[1][12][15]

そして、痛みの感じ方、力を出す能力、筋肉のたんぱく質を作る働きは別の問いだ。男性競技者を中心に整理したレビューは、飲酒が筋肉のたんぱく質合成などに影響し、回復を妨げる可能性を挙げている。18〜39歳の女性の会食とは対象も飲酒の状況も違うため、翌日の痛みへの影響は女性の試験と照らし合わせて考える。[3]

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筋肉痛の回復は、どの物差しで見るのか

筋肉痛を検索すると、痛みが消えるまでの時間を知りたくなる。ところが運動後の研究では、痛みだけでなく、膝を伸ばす力、血液中の筋肉に関連する指標、炎症に関わる反応などを別々に測っている。女性を調べた試験でも、痛みの評価と筋力の検査は同じ検査ではない。痛みの点数を、そのまま筋肉全体の成績表として扱わないことが出発点になる。[1][12]

たとえば若い女性8人の試験では、太ももの筋肉を強く使う運動後に、膝を動かしながら出す力と、動かさずに出す力を測った。一方、痛みは踏み台の昇降やスクワットの際に評価した。筋力は測定装置で、痛みは動いたときの本人の評価で捉えている。同じ脚に起きていることでも、問いかける方法が違うのである。[1]

ここで使われたのは伸張性運動だ。筋肉が力を出しながら引き伸ばされる動きで、試験では装置を用いて太ももの前側に最大努力の運動を繰り返した。日常のレッスンと、装置で最大努力を繰り返す実験とでは、負荷の条件が異なる。研究が比較したのは、あくまで決められた強い運動の後に、飲む条件と飲まない条件で何が違うかである。[1][15]

また、血液中のクレアチンキナーゼという酵素の活性も測定される。以下ではこれをCKと呼ぶ。若い女性の試験では、痛みには時間経過による変化があったが、CKの有意な変化は見られなかった。痛みの変化と血液検査の変化を別々に捉えた点も、測定結果の読みどころになる。[1]

会食の翌朝に確認したいのが階段での痛みなのか、次のトレーニングで力を出せるかどうかなのかで、参考になる結果は変わる。「回復が遅い」という言葉を見かけたら、その直後に何を測ったのかを探したい。痛みの研究を筋力の保証に使わず、筋力の研究を痛みの日数に読み替えない。この区別が、飲酒の話を必要以上に怖くも軽くもしない。[1][15]

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男性の試験では、力の落ち幅が大きくなった

健康な男性10人を対象とした無作為化比較試験では、片脚で最大努力の伸張性運動を300回行い、その後に体重1kg当たり1gのアルコールを含む飲料、またはアルコールを含まない飲料を飲んだ。別の日には反対側の脚を使い、もう一方の飲料を試した。同じ参加者が両条件を経験する比較である。男性だけの結果なので、18〜39歳の女性に同じ筋力低下率を当てはめることはできない。[15]

最も大きな筋力低下が観察されたのは運動から36時間後だった。膝を動かさずに力を出す検査では、アルコールを含まない条件の低下率が28.7%だったのに対し、飲酒条件は40.9%だった。筋肉を縮めながら力を出す検査では31.9%と42.8%、引き伸ばされながら力を出す検査では25.9%と44.8%で、いずれも飲酒条件の低下が有意に大きかった。[15]

この数字は、運動後のお酒が回復と無関係だとは片づけられない理由になる。ただし「筋肉が40.9%減った」という意味ではない。測ったのは、その時点で装置に対して発揮できる力の落ち幅である。筋肉の量、筋肉痛の強さ、長期のトレーニング成果を同じ割合で示す数字ではない。小数点が付いていても、別の意味まで精密になるわけではない。[15]

さらに、この試験では運動していない側の脚の筋力に有意な変化はなかった。著者らは、単に飲酒が全身に作用したためというより、筋肉への運動負荷とアルコールの組み合わせが筋力低下を大きくしたと考察している。運動した脚と、していない脚を分けた設計だから見えてくる点である。[15]

日常に引き寄せるなら、久しぶりに強く脚を使った日と、脚に負荷をかけなかった日を一緒にしない、という読み方になる。翌日の仕事だけでなく、その先の運動で力を出す予定があるなら、飲酒の予定も回復の条件として考える余地がある。これは特定の酒の銘柄の問題ではなく、この試験で比較された運動とアルコール摂取の組み合わせの問題だ。[15]

女性の試験では差がなく、量の違いでも結果は変わる

男性の結果だけで「筋肉痛の日の飲酒は必ず筋力を落とす」と決めると、女性の研究を取りこぼす。若い女性8人が参加した無作為化クロスオーバー試験では、同じく太ももの最大努力の伸張性運動を300回行った。運動後に体重1kg当たり0.88gのアルコール、または同じエネルギー量の対照飲料を飲み、運動前と36時間後、60時間後の筋力などを比べた。[1]

この試験では、運動した脚の機能は運動していない脚と異なったが、飲酒による回復への影響は認められなかった。踏み台やスクワット時の痛みには、飲酒条件よりも時間経過による変化が表れた。観察した期間では、飲酒条件と対照条件の回復は同様の経過を示した。[1]

筋力トレーニングを行っている女性13人の別の無作為化比較試験でも、運動後の飲酒は筋力回復や調べた炎症反応に影響しなかった。運動は片脚の最大努力の伸張性運動300回で、アルコール量は除脂肪体重1kg当たり1.09gだった。除脂肪体重とは、体重から脂肪の重さを除いた値を指す。先ほどの「体重当たり」とは分母が違い、数字の大小だけでは摂取量を比較できない。[12]

この女性の試験では、飲料の条件にかかわらず運動24時間後の筋力が低下していた。膝を曲げ伸ばしせずに出す力は48時間後までに回復し、引き伸ばされながら出す力は部分的な回復だった。「飲酒の差がない」は「運動しても疲れない」ではない。飲酒の影響と、運動そのものから戻る過程を分けて示した結果である。[12]

量を変えた男性の試験もある。健康な男性10人に、強い伸張性運動の後、体重1kg当たり0.5gのアルコール、または同じエネルギー量と容量の対照飲料を摂ってもらった。36時間後と60時間後に調べた筋力は、どちらの条件でも低下し、この量の飲酒では対照条件と同様の結果を示した。対象は男性であり、18〜39歳の女性でも同じ経過になるかは、この比較だけでは判断できない。[16]

したがって、差が出た試験と出なかった試験を並べることに意味がある。対象の性別、運動習慣、摂取量の決め方が異なる小規模試験であり、「女性だから影響ゼロ」「この量なら誰でも安心」と一般化する材料ではない。男性競技者を扱うレビューも、運動後の飲酒の影響は量、飲む時点、次の運動までの回復時間、損傷の状態などに左右されると整理している。[1][3][12][16]

同じ人が別の日に両方の飲料を試す設計は、人による筋力の違いを小さくして比較する工夫でもある。男性の試験では、反対側の脚で別の条件を行うまで少なくとも2週間を空けている。ただ、同じ人の中で比べる工夫があっても、参加者の範囲は男性10人のままである。比較の確かさと、読者全員に当てはまるかどうかは、別々に考える必要がある。[15][16]

人数だけでなく、何を対照に比べた数字なのかも一緒に確かめたい。[15][16]

数字で読む筋肉痛と飲酒の比較

男性10人の比較試験では、体重1kg当たり1gの飲酒後、36時間時点の動かさずに出す力の低下が40.9%、対照条件は28.7%だった。[15]

若い女性8人では、体重1kg当たり0.88gの飲酒による運動後の回復への影響は認められなかった。[1]

運動習慣のある女性13人では、除脂肪体重1kg当たり1.09gの飲酒後も、筋力回復は対照条件と同様だった。[12]

男性10人の低用量試験では、体重1kg当たり0.5gの飲酒後、筋力低下は対照条件と同程度にとどまった。[16]

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