20代男性のダイエットは体重比例で食べる?カロリーと体の中身を読み解く

20代男性のダイエットで、体重に同じ係数を掛ければ必要カロリーが分かるのか。成人の代謝研究から、総量と体重あたりの数字、除脂肪量と脂肪量、安静時と活動時の違いを読む。友人との食事量の比較や減量後の計算で迷う場面に沿って、研究の数字を自分の食事の処方へ直結させない考え方を示す。

定食のご飯を大盛りにするか迷い、向かいに座る友人の皿を見る。「あの人より体重があるから、食べる量も同じ割合で増やしてよいのか」。カロリー計算の画面には体重を入れる欄がある。だが、欄があることと、必要量が体重にそのまま比例することは別である。

答えの芯は、体重は重要だが、体重だけを共通の物差しにすると比較を誤る場合がある、ということだ。成人の安静時の消費量を調べた研究では、単純な体重あたりの表示に体格に伴う偏りがあり、除脂肪量と脂肪量を組み合わせた調整でその偏りが取り除かれた。[6]

したがって「20代男性なら体重に決まった係数を掛けて食べればよい」とは、この研究から決められない。ここでは摂取量の目標を作る前に、その計算が何を同じと見なしているのかを確かめる。痩せることを全員の目標にする必要はない。友人の食事を、自分の体重に合わせて拡大コピーしないための読み物である。

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体重あたりのカロリーは、公平な比較になるか

消費エネルギーの「総量」と「体重あたりの量」は、同じ問いへの答えではない。総量は体全体の消費を表す。一方、総量を体重で割った数値は、その体を体重あたりに置き換えた表示だ。後者で人を比べるときには、体の大きさと消費の関係をどう扱うかが問題になる。成人の臨床試験に付随した解析は、まさにこの割り算の偏りを検討している。[6]

この研究では、安静時エネルギー消費量を、落ち着いた状態でのエネルギー消費として扱っている。対象は食事介入試験の参加者で、呼吸ガスから消費を調べる間接熱量測定と、体組成を調べる二重エネルギーのX線測定を受けた人である。開始時には男女438人のデータがあり、食事を変えた後も追跡された。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、この集団全体の結果と年齢・性別を絞った結果を区別する必要がある。単に計算式を机上で比べた研究ではなく、測った消費と体の中身を使った解析である。[6]

体重で割った安静時の消費量は、体重が大きいほど低い方向に関連していた。男性での相関係数は−0.44、女性では−0.47だった。相関係数は、ここでは体重と割り算後の値がどちらの方向に動くかを表す指標である。この結果を「大きい体は代謝が悪い」と読むのは早い。研究が問題にしたのは、その評価方法自体に体の大きさが残ることだった。[6]

たとえば、友人より体重あたりの消費が低く表示されても、その表示だけで体全体の消費が少ないとは判断できない。分母を体重に変えた時点で、見ている数字の意味が変わるからだ。研究でも、体重による割り算と、体組成を考慮した調整とでは、体格との関係が違っていた。[6] 計算機は割り算を間違えない。比較の前提までは確認してくれない。

ここで登場するのがアロメトリーである。体の大きさが変わったとき、代謝などがどんな割合で変わるかを、単純な比例に限らず表す考え方だ。消費と体重の関係を扱った数学モデル研究では、広い体重範囲で曲線になる関係でも、限られた範囲では直線に近く見えることが説明されている。身近な範囲で直線がよく合うことと、すべての体格に同じ比例が成り立つことは同義ではない。[12]

直線と比例にも違いがある。比例は原点を通る関係だが、研究で使う直線には、体重とは別に加える定数項が含まれる場合がある。数学モデル研究は、この定数項が体重で割る従来の調整を混乱させる原因になると論じている。[12] 難しい式を覚える必要はない。「体重を倍にすれば消費も同じように倍」という前提を、自動で置かないことが要点である。

数学モデル研究はさらに、肝臓、腎臓、心臓、脳などの臓器ごとの寄与を扱っても、直線の定数項は残ると予測した。[12] 体の中身を細かく分けることと、単純な比例が成立することは別問題なのだ。このモデルは理論上の検討であり、臓器の重さを自分で見積もって食事量を決める手順ではない。計算を細かくすれば必ず個人の食事の正解に近づく、と受け取らず、どんな関係を表すための式なのかを読む必要がある。[12]

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同じ体重でも、除脂肪量と脂肪量は同じではない

先ほどの成人研究は、体重の代わりに体の中身を組み合わせて安静時の消費を調整した。除脂肪量は脂肪を除いた体の量であり、筋肉だけを指す言葉ではない。研究では除脂肪量と脂肪量を別々に用いたモデルを作り、体格による比較の偏りを検討した。[6] 体重計の表示が同じであることと、モデルに入る材料が同じであることは、ここで分かれる。

除脂肪量、脂肪量、年齢などを含むモデルは、安静時の消費のばらつきの79%を説明した。さらに、除脂肪量の0.66乗と脂肪量の0.066乗を掛けた量で調整すると、体の大きさや性別との有意な関連は認められなかった。体重で単純に割った表示とは異なる結果である。[6] これは研究集団の比較を整える成果であり、その式をそのまま夕食の摂取量にするためのものではない。

指数の差を「筋肉は脂肪より何倍も燃える」と読み替えることもできない。モデルの指数は、それぞれの組織の燃焼量を直接比べた比率ではないからだ。この解析が示したのは、除脂肪量と脂肪量の組み合わせで安静時消費の体格差を扱えるということだ。[6] 食品の成分表示のように、体の各部へ固定のカロリー札を貼った結果ではない。

食事介入後の追跡も興味深い。データは6か月時に340人、12か月時に323人で得られた。除脂肪量、脂肪量、血圧と心拍数に関する指標を考慮した予測値に対する安静時消費の割合は、介入後も統計的に安定していた。[6] 減量後の数字を比べる際にも、体重だけで割るか、体組成などを考慮するかが大切になる。

ただし、この結果から「減量しても誰の代謝も変わらない」と結論してはいけない。調整後の指標が研究集団で安定していたことと、個人の実測値が不変であることは異なる。まして安静時の消費についての解析から、食事や活動を含む毎日の生活全体の変化は別に確かめる必要がある。[6] 見るべきものは、何を調整した後の、どの数字が安定していたのかである。

夜のスマートフォンに並ぶ「体重あたり」の値は、見比べやすい。だが、その便利さだけで代謝の良し悪しを決めない方がよい。体重で割った値に体格の影響が残ったという研究結果は、数字が小さい人への評価を保留する理由になる。[6] 低い表示は、自分の体が努力不足だという採点結果ではない。

体が大きい人は、小さい人の拡大模型ではない

体重だけの比較に慎重になる理由は、代謝の測定だけでなく体格の研究からも見える。成人478人を対象に、運動選手279人と運動をしていない対照者199人の体の周径を調べた研究がある。体の各部が同じ比率で大きくなるならどうなるかという予想と、実測を比べた観察研究だ。運動選手を含む成人集団の結果であり、18〜39歳の女性だけの体格差や消費量への適用は別に検討する必要がある。[18]

結果は、成人の体は互いに幾何学的な相似形ではなかった。筋肉や脂肪を含む上腕や脚では、相似形から予想されるより周径の増え方が大きく、頭部や手首、足首では小さかった。頭の周径は体の大きさが違ってもほぼ一定だった。[18] 服のサイズが変わるたびに帽子まで同じ割合で大きくなる、という体ではない。

この研究は食事量を処方した試験ではない。体型の違いから消費カロリーを直接算出したものでもない。しかし、体重の違う人を全身同じ割合の拡大模型として扱う前提には、実測上の問題があることを示している。著者らも、体格の異なる人のエネルギー消費などを体重のべき乗で調整する際の問題として論じている。[18]

こうした結果は「体重は役に立たない」という話ではない。体重は体の大きさを捉える情報であり、成人の代謝解析でも重要だった。[6] ただ、体重だけでは体の各部の割合を表し切れない。[18] 同じ男性、近い年齢というだけで、友人のカロリーを体重比で移し替えるには、共通していると仮定するものが多すぎるのである。

数字で読む体重と代謝の比較

438人:成人の安静時消費と体組成の解析で、開始時にデータが得られた人数。[6]

−0.44:男性の体重と、体重で割った安静時消費との相関係数。総消費の大小をそのまま表す値ではない。[6]

79%:除脂肪量、脂肪量、年齢などを含むモデルが説明した安静時消費のばらつき。[6]

478人:体の周径を測り、成人の体が相似形かを調べた研究の対象者数。[18]

136人:活動量の指標と消費の実測を比べ、体組成の扱いも検討した女性の研究の対象者数。[19]

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