20代・30代のダイエット、室内の横歩きは運動になる?遅くても負担が違う理由

室内で横に歩くと、前に歩くより遅いのに脚を使う感じがする。横歩きの実験で示された距離当たりの消費、自然に選ぶ速さ、先に出る脚と後ろの脚の役割を読む。同じ時間で消費が何倍になるか、体重が減るかとは分け、20代・30代が室内運動を選ぶときの考え方と安全への配慮も整理する。

床に置いた洗濯かごをよけようと、横へ脚を出す。部屋の端までそのまま横歩きで進むと、前へ進むほど速くないのに、いつもの歩行とは違う仕事を脚に頼んでいる感じがする。その感覚を考える手掛かりはある。人の横歩きを調べた実験では、同じ距離を移動するための代謝コスト、つまり体が使うエネルギーは、前歩きの3倍を超えた。[1]

ただし「同じ距離」が肝心である。同じ時間の運動で消費が3倍になる、横歩きを続ければ体重が速く減る、という意味ではない。実験で人が自然に選んだ横歩きの速さは平均0.575m/sと低く、エネルギーの面で有利な速さも低かった。遅い移動でも、距離当たりには多くのエネルギーを使うのである。[1]

20代・30代のダイエットという検索から来ても、ここで考えたいのは体型の採点ではない。部屋でできる動きの選択肢を増やすために、前歩きと横歩きの何が違うのかを知ることだ。前後の向きの比較は既存記事「ダイエットの有酸素運動は後ろ歩きでもできる?同じ速さの負担と安全を読む」に譲り、今回は横へ進むときの消費と脚の分担に絞る。

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横歩きは、同じ距離でも安上がりではない

横歩きの代謝コストを測った実験研究では、単位距離当たりのエネルギーが前歩きの3倍超だった。研究者は、この高さを繰り返される動き出しと停止によって説明する簡単な数学モデルも示した。横へ移動する動作には、進み続けるだけでは済まない力の使い方が含まれる、という見方である。[1]

「コスト」という言葉は、買い物でいえば目的地までの交通費に近い。同じ場所まで行くのにどれだけ使ったかを比べる尺度だ。横歩きの研究で強調されたのも、その距離当たりの量である。これを運動した時間当たりの量に読み替えると、比較の土台が変わる。横歩きの速さが低いことも一緒に読む必要がある。[1]

たとえば、部屋の端まで横に移動する場合と、前を向いて移動する場合を想像する。目的地をそろえる問いと、曲が終わるまで動く問いは別物だ。前者では移動距離を、後者では運動時間をそろえている。距離当たりの実験結果だけで、後者の消費量まで決めることはできない。[1]

ここは室内運動を探すときに取り違えやすい。移動の少なさと消費の少なさは別だ。実験が答えたのは横へ移動する際のエネルギーの使い方であり、体重変化の優劣ではない。消費の特徴と、ダイエットの成果を同じ言葉で包まないことが出発点となる。[1]

横歩きには、普段の移動を置き換える場面と、あえて体を動かす場面がある。通勤なら速く目的地へ着きたいし、室内運動なら移動の効率そのものが目的ではない。同じ研究結果でも、何のために動くかによって受け止め方は変わる。移動には不利な動きが、運動の選択肢としては検討できる。[1]

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自然に選ぶ遅さは、移動効率と結び付く

横歩きの実験で参加者が自然に選んだ速さは平均0.575m/sで、標準偏差は0.123m/sだった。標準偏差は参加者の値のばらつきを表す。一方、距離当たりの代謝コストが最も小さくなる速さは平均0.610m/sで、標準偏差は0.064m/sだった。自然に選ぶ速さと、消費の面で有利な速さが近かったのである。[1]

参加者は事前の練習がなくても、各自の最適な距離当たりコストから2.4%以内に収まっていた。著者らは、横歩きが遅いのは速く動く能力がないからではなく、代謝的に有利な速度が低いためだと論じている。横へ進んだときにテンポが落ちても、それだけで運動が下手だと採点する必要はない。[1]

この「最適」は、体が使うエネルギーを移動距離に対して小さくするという意味である。健康に最適、減量に最適、初心者が守るべき速度、という意味を持たせてはいけない。平均0.610m/sは実験から得られた値であり、部屋の床に印を付けて追いかける目標ではない。[1]

同じ速さにそろえて前歩きと横歩きを比べることにも、注意がいる。動く方向によって自然に選ぶペースが変わるからだ。普段の散歩の速さを横歩きに持ち込んで、追いつけないことを体力不足と解釈するのは早い。横歩きでは、選ばれる速さ自体が低いという実験結果がある。[1]

立川駅北口の夕方に、通行人が全員横を向いて帰宅する光景は想像しにくい。横歩きは移動の費用が高く、自然に選ぶ速度も遅い。著者らはこの組み合わせが、日常の移動で横歩きを避ける理由だと考えている。効率のよい移動と、動きの変化を楽しむ室内運動は、評価する物差しが違うのである。[1]

先に出る脚と、後から寄る脚の仕事は違う

横歩きの負担を、両脚がただ交互に同じことをする運動と考えると、重要な点を見落とす。健康な男性7人を対象にした動作実験では、横へ進むときの左右の脚に、力学的な仕事の分担が見られた。18〜39歳の女性に同じ分担の大きさをそのまま当てはめるには、女性を対象にした検証が必要だ。研究者は体の重心の速度と床から受ける力を使い、それぞれの脚が外部へ出すパワーを求めた。[16]

横歩きでは、後からついてくる脚が主に正の外部パワーを、先に出る脚が主に負の外部パワーを生み出していた。ここで正と負は、良い脚と悪い脚という意味ではない。体の運動にエネルギーを与える側と、受け止める側という力学上の違いである。速くなるにつれて、その両方の大きさが増していた。[16]

この研究で解析された横歩きは0.44〜1.21m/sの範囲で、126歩のデータが使われた。別に、横方向へ弾むように進むギャロップも調べており、そちらは1.04〜3.00m/sの41歩だった。歩行とギャロップでは脚の分担が異なっていたため、速い横移動をすべて同じ横歩きとして扱うこともできない。[16]

違いの主な部分は上下方向のパワーに由来していた。横へ移動する研究なのに、上下方向に体を支える仕事にも違いがあったのである。横方向のギャロップでは両脚に負のパワーと、その後の正のパワーが認められた。横歩きから速度だけを上げれば、同じ仕組みのまま負担が増える、という単純な図ではない。[16]

室内で同じ方向にばかり進めば、同じ脚が先に出て、反対の脚が後からついてくる。この動作の区別は、練習の様子を観察する際の手掛かりになる。ただし、力学的な役割の差から、どちらかの脚だけが細くなる、特定の筋肉だけが育つ、といった結果を導くことはできない。外部パワーを測る研究と、体の形の変化を調べる研究は問いが違う。[16]

また、男性7人の実験で得られた分担を、あらゆる年齢や体の状態に同じ大きさで当てはめるべきではない。役割が非対称になり得るという発見は役立つが、個人の左右差の診断にはならない。右へ進むときと左へ進むときの感じを比べても、その場で筋力の優劣まで決めなくてよい。[16]

この動作実験の測定方法にも意味がある。床から受ける力だけでも、重心の移動だけでもなく、両者を組み合わせて脚ごとのパワーを計算している。見た目では同じ方向へ進む両脚も、エネルギーを加える局面と受け止める局面を分けると違いが現れる。外から見た移動距離が小さいことと、体を支える仕事が小さいことは同義ではない。[16]

一方で、代謝コストと外部パワーは別の測定である。前者は体が使うエネルギー、後者は重心の運動と床反力から捉える力学的な仕事に関わる。別々の研究を並べると横歩きの特徴は立体的になるが、両者の数値を結ぶには別の検証が要る。脚の分担を知ることは、消費の倍率の内訳を確定することとは違う。[1][16]

横歩きを見ながら「先の脚が引っ張るのか、後ろの脚が押すのか」と考えるなら、実験では後続脚の正のパワーと先行脚の負のパワーが優勢だったことを思い出せる。ただし、その分担は主に上下方向の成分から生じていた。横へ進むための動きにも、体を上下に支える仕事が含まれるという点まで読むと、単に脚を横へ運ぶだけという印象が変わる。[16]

数字で読む横歩きの負担

距離当たりの代謝コストは前歩きの3倍超。同じ時間の消費倍率とは異なる。[1]

自然に選んだ横歩きの速度は平均0.575m/s。運動の推奨速度ではない。[1]

代謝コストが最小になる速度は平均0.610m/s。評価したのは距離当たりの消費である。[1]

脚のパワー分担を調べた実験の対象は健康な男性7人。結果の一般化には対象を添えて読む。[16]

歩行の測定法を評価した実験は20人が対象。右と左の横歩きも測定に含まれた。[18]

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