ダイエット中の炭水化物は冷やすと変わる?運動日の主食とでんぷんを読む

ダイエット中の炭水化物は、冷やすことで一部のでんぷんの消化されやすさが変わる。ただし、食後血糖の変化と体重減少は別の問いだ。冷却後に温めたパスタの試験、差がなかったオートミールの試験、研究レビューを照らし合わせ、運動日の主食を温度だけで選ばないための視点を整理する。

炊きたてのご飯を弁当箱に詰め、夕方のレッスン前に食べる。温かいご飯にするか、冷たいおにぎりにするか。「冷やすと糖質が減る」と聞くと、同じ米でも急に別の商品に見えてくる。だが、冷却で変わりうるのは、でんぷんの一部の構造と消化されやすさである。冷やした主食をそのまま体重減少の方法に置き換えるのは、研究の問いから離れる。[19][20]

調理後に冷やすと、小腸で消化されにくいでんぷんが増える場合がある。実際、冷却して温め直したパスタで食後血糖が低くなった試験がある一方、でんぷんの再配列を促しても血糖反応に有意差がなかった試験もある。冷たいほどよい、温め直したら無意味、といった温度だけの答えにはならない。[1][16]

運動日に知りたいのは、主食を冷やす手間に意味があるのか、食べる量まで変えてよいのか、ということだ。ここでは食品の中の変化と、人が食べた後の変化を分けて読む。体の形や体重を一律の目標にはせず、冷却を理由に食事を削る前に、何が確かめられたのかを見ていく。[14][19]

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冷やすと変わるのは、でんぷんの並び方だ

でんぷんは植物のエネルギー貯蔵に関わり、多くの植物性食品に含まれる。レジスタントスターチとは、小腸での消化を免れ、大腸へ届いて腸内の微生物に発酵されるでんぷんの部分を指す。「レジスタント」は、冷たい食べ物という意味ではない。消化に対して抵抗性がある、という性質の名前である。[19]

加熱されたでんぷんが、その後に分子の並びを組み直す現象を老化と呼ぶ。食品の研究で使う老化は、食べた人の年齢の話ではない。冷却や保存に伴うこの再配列によって、でんぷんの消化されやすさが下がることがある。米を使った食品のレビューでも、加工や保存に伴う変化が、酵素による消化や食感に関わると整理されている。[8][20]

同じでんぷんでも、アミロースとアミロペクチンという構成成分の鎖の性質で、再配列の起こり方は違う。鎖の構造を扱ったレビューは、アミロースの鎖が安定した構造へ並び直すことと消化されにくさの関係を論じ、アミロペクチンでも鎖の長さによって振る舞いが異なると述べている。見た目には同じ白い主食でも、分子の構造には違いがある。[3]

これは、冷蔵庫へ入れた食事が丸ごと消化不能になるという説明ではない。レジスタントスターチは食品中のでんぷんの一部分であり、食品の加工法によってその割合が変わりうる、という話である。主食という食品名だけで、全部が速く消化される、全部がゆっくり消化される、と仕分けることはできない。[19][20]

冷蔵庫は、栄養表示の書き換え窓口ではない。冷却の研究を食卓へ持ってくるなら、「炭水化物がなくなる」ではなく「一部のでんぷんの性質が変わりうる」と読む。その表現なら、食品の中で起きたことと、食べる人に起きることを混同せずに済む。[19][20]

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パスタを温め直しても、食後血糖は変わった

人が実際に食べた試験として、成人の1型糖尿病患者32人を対象にした無作為化クロスオーバー試験がある。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験する比較方法だ。参加者はインスリンポンプを使用し、調理直後のパスタと、調理後に4℃で24時間冷却してから温め直したパスタを食べた。治療条件が特定された集団であり、18〜39歳の健康な女性に結果をそのまま当てはめることはできない。[1]

食事は利用可能な炭水化物50gを含むよう標準化され、食前のインスリンはポンプの計算機能で算出された。食後180分にわたり、組織間の糖の値が記録された。したがって、この試験は「いつもの食事を何となく冷やしてみた」比較ではない。食品と薬の使用条件をそろえ、食後の反応を見た実験である。[1]

冷却・再加熱した条件では、最大の糖の値が10.7mmol/L、調理直後では12.6mmol/Lだった。最大上昇幅もそれぞれ2.8mmol/Lと4.7mmol/Lで、冷却・再加熱の条件が低かった。でんぷんの測定では、レジスタントスターチが100g当たり8.03gから12.88gへ増えていた。食品の性質の変化と食後の反応の変化が、同じ試験の中で確認された点が重要である。[1]

ただし、対象はインスリンポンプを使う1型糖尿病の成人である。健康な人がレッスン前に食べるおにぎりや、薬を使わない人の普段の食事へ、その値をそのまま移すことはできない。この試験が示すのは、その参加者、その食事、その投薬条件での食後血糖の差であり、体重が減る速さではない。[1]

試験では早期の食後低血糖の発生数に条件間の差はなかった。これも、冷却した主食なら薬の使い方を変えてよい、という意味にはならない。糖尿病の治療中に食事を変える場合は医師に相談する対象であり、自分の判断で試験の食前投与をまねするものではない。[1]

そして、この実験は冷えたパスタをそのまま食べたものではない。温め直した後にも違いが見られたことから、食べる瞬間の冷たさだけで説明するのは適切でない。料理の温度と、調理から食べるまでに経験した温度の履歴は、分けて考える必要がある。[1][8]

再配列を増やしても、血糖に差が出ない試験もある

別の無作為化クロスオーバー試験では、健康な参加者32人がオートミールの粥を食べた。でんぷんの鎖を酵素で変えたものと、変えていないものを比べ、どちらも4℃で24時間保存している。利用可能な炭水化物は22.5gで、食後3時間の血糖反応を比較した。この対象は18〜39歳の女性に限定した集団ではなく、その読者層で同じ結果になるかは別に確かめる必要がある。[16]

酵素処理は、アミロペクチンの鎖を長くすることで、低温保存時に並び直しやすくする操作だった。食品の構造の側では狙った変化が起きた。しかし食後血糖の反応には有意差がなかった。血糖の増加分を時間に沿って積み上げた指標は、処理した粥で73±30、処理していない粥で82±43mmol min L-1、p値は0.17だった。[16]

ここで「数字が低いほうが勝ち」と読まないことが大切だ。平均値の見かけの違いと、統計的に差が確かめられたことは同じではない。この試験の結論は、でんぷんの再配列を促す操作が、食後血糖を下げる結果につながらなかった、というものだ。構造が変われば必ず血糖も下がるという理解は、この条件では否定された。[16]

一方、この試験は冷却した食事と温かい食事の単純な比較でもない。両方の粥が同じ低温保存を受けており、比べたのは酵素で分子構造を変えたかどうかである。そのため、結果を「冷やしても何も変わらない」と広げるのも誤りになる。実験で動かした条件を正しく見ないと、肯定にも否定にも話を大きくできてしまう。[16]

パスタの試験とこの粥の試験は、対象者、食品、加工方法が違う。片方を採用して片方を消すのではなく、冷却や再配列の効果は条件次第だと読む材料になる。食品の構造を測る段階から、人の血糖を測る段階へ移る間には、実際に確かめるべき距離がある。[1][16][20]

この結果を読み比べる際には、比較相手にも注目したい。パスタでは調理直後を相手に冷却・再加熱を比べたが、粥では同じ低温保存をした食品同士を比べた。どちらも冷却に関わる研究であっても、答えようとした問いが異なる。見出しだけを集めて「効く研究と効かない研究がある」と並べるより、その違いを含めて読むと、結論の範囲が具体的になる。[1][16]

また、食品加工のレビューには、原料の違いによってレジスタントスターチを増やす操作の効果が大きく変わるとの整理がある。調理操作の名前が同じでも、出発点のでんぷんが違えば結果はそろわない。家庭で食べる主食へ応用したい場合も、パスタで見られた変化を米や別の穀物の固定値として使わず、食品ごとの条件を残したまま受け止める必要がある。[2][8]

数字で読む冷却とでんぷん

32人:冷却・再加熱パスタの試験対象は、インスリンポンプを使う1型糖尿病の成人である。[1]

4℃・24時間:パスタの試験で用いた冷却条件であり、家庭の保存法を一律に指定する数字ではない。[1]

8.03→12.88g/100g:パスタで測定されたレジスタントスターチの変化である。[1]

10.7対12.6mmol/L:パスタ試験の最大の糖の値。冷却・再加熱条件が低かった。[1]

p=0.17:酵素処理したオートミールの試験では、食後血糖反応に有意差がなかった。[16]

36試験・982人:糖尿病または前糖尿病を対象とした系統的レビューが見つけた無作為化試験の規模である。[14]

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