女性の懸垂は一度もできなくても練習できる?補助と握り方で考える最初の一歩

女性の懸垂は、できない動作を繰り返す以外にも練習の入口がある。ラットプルダウンの試験と握り方のレビューから、補助を使う際の考え方、回数を比べる条件、研究を女性初心者に当てはめる限界を読む。背中の筋活動と長期の成果を分け、最初に指導者へ伝えたいことまで整理する。

鉄棒の下で、握った手と地面についた足を交互に見る。足を浮かせてみる。肘を曲げようとしても体が上がらず、地面に戻る。「懸垂を練習するには、先に懸垂ができないといけないのか」。入口が出口になっているような問いだ。

練習の入口は、完成した懸垂だけではない。健康で運動習慣のある男子大学生を対象にした試験では、ラットプルダウンという、上のバーを体へ引き下ろす運動を続けた両群で、懸垂の反復回数が改善した。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは未検証で、最初の成功までの経過も調べていない。[12]

握り方を変えれば背中がまったく働かなくなる、という心配にも慎重でよい。引く運動のレビューでは、懸垂の握り方の違いによる広背筋の活動はおおむね似ていた。とはいえ、最も成功しやすい握り方や補助量を女性初心者向けに決める結果ではない。ここで考えるのは、できない自分の採点ではなく、次に試す条件の選び方である。[14]

yogaのレッスン前の様子生徒の足もとにあるヨガマット 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

懸垂ができない日にも、引く練習は選べる

ラットプルダウンの試験は、健康で余暇に運動をしている男子大学生34人を、関節の不安定性を伴う条件と通常の安定した条件に無作為に分けた研究だ。18〜39歳の女性への適用には、性別と開始時点の能力の違いを確かめる研究が必要である。どちらも8週間、ラットプルダウンを行った。開始前後に懸垂の回数と、ラットプルダウンで最大限に力を出したときの指標を測定し、両群とも改善を認めた。[12]

この結果の身近な意味は、「懸垂そのもの以外を練習した場合でも、懸垂の成績が変わる例がある」ということだ。足が床から離れない段階で、毎回鉄棒の前に立って失敗だけを確認する必要がある、とこの研究からは読めない。相談の候補としては、完成した懸垂と別に引く運動を挙げられる。[12]

試験が測ったのは懸垂の持久力、つまり繰り返せる回数である。初めて体を持ち上げられた人の割合や、成功までの日数は報告されていない。すでに動作を繰り返す力がある人の成績と、まだ動作を完成できない人の入口は、同じ問いではない。読者が知りたい「いつできるか」に、8週間という試験期間をそのまま答えとして渡すことはできない。[12]

関節の不安定性を伴う群の懸垂回数は、通常群より45.5%多かったと報告されている。これは比較した群同士の結果であり、全員の回数が45.5%増えるという意味ではない。個々の開始時点の能力や、女性初心者での変化量まで示す数字でもない。絶対的に何回増えたかと、その信頼区間はここで紹介できる報告には示されていない。[12]

著者らは、反対方向に働く筋の同時活動が減ったことを、改善を説明する可能性として挙げている。拮抗筋とは、ある動きに対して反対側の働きを担う筋のことだ。力を出す量だけでなく、動作中にどう使うかも検討された試験である。ただし、この説明は「わざと不安定な器具を作れば初心者の近道になる」と言い換えられない。[12]

仕事帰りに器具を使うなら、「懸垂をまだ完成できない。引く運動の負荷を調整して試したい」と指導者に伝える場面が考えられる。これは試験で決まった処方ではなく、研究の対象と自分を混同しないための相談の仕方だ。研究で成果が出た運動名だけを伝えるより、いま何ができず、何を確かめたいかを添えたほうが相談の論点は明確になる。

補助付き懸垂、ラットプルダウン、完成した懸垂を、単に「簡単」「本番」と並べると、実際にどんな条件で動いたかが抜け落ちる。この試験には補助付き懸垂を比較する群がなく、ラットプルダウンとの優劣は分からない。練習の候補があることと、その候補の順位が決まっていることは別である。[12]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

握り方は、背中の筋活動だけで順位をつけられない

握り方を扱う手がかりは、引く運動の筋電図をまとめたナラティブレビューにある。筋電図は、筋が活動するときの電気的な信号を記録する方法である。採用研究の年齢・性別の内訳はここで読める報告では不明で、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは確認が必要である。このレビューは23研究を取り上げ、ラットプルダウン、ローイング、懸垂などで、広背筋の信号の大きさを比較した。[14]

広背筋は背中の筋で、肩を後ろへ動かす、腕を体の側へ寄せる、内側へ回す動きに関わる。レビューは、懸垂の握り方を変えたときの広背筋活動はおおむね似ているとまとめた。「背中を使うにはこの握り方しかない」という断定を支える結果ではない。[14]

ここでいう「似ている」は、すべての人が同じ回数をできるという意味ではない。筋活動を比べる実験と、初心者が動作を成功できるかを比べる実験では、測るものが違う。このレビューの結論から、握り方ごとの成功率や、手首の快適さ、痛みの起こりにくさまで順番をつけることはできない。[14]

ラットプルダウンでは、バーを体の前へ下ろす条件が、より大きな広背筋活動と比較的一貫して関連した。一方、握る幅による違いは一貫していなかった。前に下ろす条件の結果と、握る幅の結果を組み合わせて、ある幅だけが正解だとするのも行き過ぎである。[14]

スマホの動画では、バーを握った手元だけが大きく映る。そこで握る幅をまねすれば、同じ運動が再現できた気になる。しかしレビューは、引く運動全般で、上腕と体幹の位置関係が筋への負担の配分に関わる可能性を述べている。手元だけを切り抜いた情報では、その比較の条件が見えない。[14]

また、広背筋の電気的な活動が大きかったことを、そのまま筋肉が最も育つ、懸垂が最も早くできる、と読むことはできない。レビューの著者ら自身が、扱ったのはその場の筋電図で、長期的なトレーニング成果ではないと区別している。信号が強い日と、動作ができるようになる日は、同じ測定ではない。[14]

隣の記事「女性のローイング筋トレは肘をどこへ引く?背中の筋活動で読むフォームの違い」には、水平に引く動作の比較を譲る。ここで確かめたいのは、懸垂を始める際に握り方だけを合否の原因にしてよいかだ。レビューは種目を横断しているが、ローイングの結果を懸垂へそのまま移す根拠にはならない。[14]

実際の相談では、候補の握り方を指導者に確認し、「どの筋がいちばん働くか」だけでなく、「同じ補助条件で動作を確かめられるか」を問いにできる。握り方を決めるために背中の感覚を無理に作る必要はない。研究が示した範囲を使いながら、実際の器具に合わせた選択はその場で確認する、という位置づけである。

補助の強さより、補助の条件を言葉にする

足を支える、器具で上向きに助けるなど、補助を使って懸垂の動きを試すことは考えられる。ただし、ここで紹介する研究には、女性初心者を対象として補助量や補助方法を直接比較した試験がない。だから、体重に対してどれだけ助ければよいか、何回行えばよいかという共通の数字は出せない。[12][14]

相談の入口として記録できるのは、補助の種類、器具の設定、握り方、開始と終了の位置である。これは成功率が検証された練習法ではなく、何を試したかを説明するためのメモだ。「今日はできた」だけでは、昨日と同じ条件でできたのか、条件を変えてできたのかが分からない。

たとえば、前回は補助を受けた状態で体を上げ、今回は別の器具で試したという場面がある。その回数をそのまま並べれば、練習量の一覧にはなる。しかし、同じ能力を同じ方法で測った記録にはならない。研究の前後比較も、何を測ったかを明確にしているから意味を読み取れる。懸垂の回数と引く力の測定を分けた試験が、その例だ。[12]

動きの途中だけを試した記録にも、その範囲を書いておきたい。完成した懸垂と部分的な動作をどちらも同じ回数として扱うと、目標への距離を測るつもりが、数字の付け方を比べることになる。成績をよく見せるためのメモではなく、次の相談で前回の状態を再現するためのメモと考える。

数字で読む懸垂の入口

34人:ラットプルダウンの無作為化試験の対象は、健康で運動習慣のある男子大学生だった。[12]

8週間:その試験の練習期間であり、女性初心者の成功期限ではない。[12]

45.5%:不安定性を伴う群の懸垂回数が通常群より多かったという群間の比較である。[12]

23研究:引く運動の筋電図をまとめたレビューの採用数で、女性初心者の試験数ではない。[14]

60人:腕への単回のフォームローリングを検証した無作為化試験の対象人数である。[16]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約