高たんぱく食の種類で痩せ方は違うのか 糖質・脂質と続け方から比較を読む

高たんぱく食は、たんぱく質を増やせばどれも同じなのか。糖質・脂質の配分、食事全体のエネルギー、運動の有無、続けた期間を比較試験から読み分ける。体重と体脂肪の小さな差、筋肉を守る効果の限界、動物性と植物性の優劣を断定できない理由まで、日々の食事選びにつなげる。

「高たんぱく・低脂質」と「高たんぱく・高脂質」。似た名前の食事が、脂質については反対の方針を掲げている。夕食を選ぶとき、たんぱく質だけを見れば同じ棚に入る献立も、ご飯や油の扱いまで見れば別の選択だ。何を増やすかに加えて、残りの皿をどう組み立てるかが気になる。[1][3]

研究でも高たんぱく食は単一の献立ではない。低脂質の食事で糖質との割合を変える試験もあれば、脂質を多く含む食事や、厳しい運動を組み合わせる試験もある。高たんぱくという共通点だけで、同じ減量効果を期待することはできない。[1][3][19]

ここで知りたいのは、最も強そうな食事名ではなく、何を変えた比較で、何がどれほど変わったかである。食欲と代謝の仕組みを詳しく知りたいときは、既刊の「たんぱく質とダイエットの科学 満腹感と筋肉維持は、体重計だけでは見えない」が入口になる。今回は、似た名前の食事を同じ棚に並べてよいのか、その比較の条件を読む。

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高たんぱくという名前より、何を減らしたかを見る

食事の研究では、たんぱく質、糖質、脂質という主要な栄養素の配分が比較される。たんぱく質の割合が高いという情報だけでは、残りの配分は決まらない。さらに、食事全体のエネルギーを減らすかどうかも別の条件である。低脂質でエネルギーを制限した食事同士の比較と、糖質や脂質の構成が異なる食事を集めた比較は、答えている問いが違う。[1][3]

たとえば、いつもの夕食の主菜を増やし、ご飯を少なくした献立を思い浮かべる。主菜を増やしてご飯もそのままにした献立とは、変更の方向が異なる。研究で総エネルギーを同じになるよう設定しているなら、その結果を「今の食事に好きなだけ足しても痩せる」という話にはできない。高たんぱく・低脂質食を扱ったメタ分析は、まさに同じエネルギー量を処方し、脂質の量もそろえた条件での比較である。[1]

メタ分析とは、複数の研究結果を統計的にまとめる方法だ。この分析は成人を対象とした無作為化比較試験を集めている。参加者を偶然によって各食事群へ割り付ける試験であり、好みで食事を選んだ人同士を比べる観察研究とは区別される。ただし、割り付けた食事と実際に食べた内容が一致するとは限らない。そのずれは、後で読む継続の問題にもつながる。[1][17]

高たんぱくの境目も、どの研究でも同じではない。過体重の成人を対象とした別の系統的レビュー・メタ分析では、たんぱく質を増やす介入の割合は総エネルギーの18〜59%に及んだ。体重を評価した37研究の統合では、対照食より平均1.6kg大きい減量が示され、95%信頼区間は1.2〜2.0kgだった。信頼区間は、推定された差の不確かさを表す幅である。[5]

この平均は、幅広い食事条件を集めた結果だ。自分の夕食にそのまま当てはまる数字ではない。比較の相手が何を食べていたか、総エネルギーの制限があったか、たんぱく質の差がどれほどあったかを一緒に読む必要がある。食事名は見出しになるが、献立の仕様書にはならない。[1][5]

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低脂質型で確かめられた差は、大きな魔法ではない

高たんぱく・低脂質食と通常量のたんぱく質を含む低脂質食を比較したメタ分析には、24試験、計1,063人が含まれた。平均の食事介入期間は12.1週だった。両方ともエネルギー制限を行い、処方したエネルギーと脂質をそろえて、たんぱく質と糖質の配分を変えた試験である。[1]

高たんぱく群では、比較群より体重が平均0.79kg、体脂肪量が0.87kg多く減った。95%信頼区間は体重で−1.50〜−0.08kg、体脂肪量で−1.26〜−0.48kgだった。これらは高たんぱく群の減量総量ではなく、食事群の間の差である。各群が実際に減らした総量と、群間の平均差を区別して読む必要がある。[1]

体重の変化には、脂肪以外の組織の変化も含まれる。この分析では、脂肪を除いた体の量である除脂肪量の減少が、高たんぱく群で平均0.43kg抑えられた。95%信頼区間は0.09〜0.78kgである。除脂肪量は筋肉だけを指す言葉ではないため、この数字をそのまま「筋肉が増えた量」と呼ぶのは不正確だ。[1]

体重計に映る差が控えめでも、減った中身には意味がありうる。中性脂肪も高たんぱく群で平均0.23mmol/L多く低下し、群間差の95%信頼区間は−0.33〜−0.12mmol/Lだった。安静時のエネルギー消費量の低下も抑えられ、その群間差は595.5kJ/日、95%信頼区間は67.0〜1124.1kJ/日である。一方、空腹時の血糖やインスリン、血圧、総・LDL・HDLコレステロールの変化は両食事で同程度だった。指標ごとに、差があった結果と同程度だった結果を分けて評価したい。[1]

日常でこの研究に近い問いを立てるなら、「主菜を増やしたか」だけでなく、「その分どこを調整したか」まで必要になる。昼の弁当を変えるときも、主菜の量、ご飯の量、調理に使う脂の扱いを別々に見る。食品の優劣を決める実験ではなく、食事全体の条件をそろえたときに配分の差がどう表れたかを確かめた研究だからだ。[1]

平均の差が小さいことは、効果がないことと同義ではない。一方で、たんぱく質だけで大幅な減量差を作れるという期待とも合わない。この比較が示すのは、エネルギー制限という土台がある中で、体重や体組成に控えめな上乗せがありうるという範囲である。[1]

糖質を最も減らした食事が、必ず最上位ではない

高たんぱく食の内側にある違いを調べた系統的レビューとメタ分析では、83論文が対象になった。通常量のたんぱく質を含む食事と比べ、高たんぱく食は体脂肪量が平均0.64kg少なく、除脂肪体重が0.34kg多い結果だった。95%信頼区間は、それぞれ−0.98〜−0.29kg、0.11〜0.57kgである。[3]

この研究は、食事同士の直接比較をまとめる方法に加え、ネットワークメタ分析を用いている。直接比べた結果だけでなく、共通の比較相手を介した結果も含めて複数の食事を比べる方法だ。著者らの分析では、高たんぱく・中程度の糖質・高脂質という構成が、体重や体脂肪量などの項目で最も高い順位を得た。[3]

一方、中性脂肪の低下と、いわゆる善玉と呼ばれるコレステロールの上昇では、高たんぱく・低糖質・高脂質食が最も高い評価だった。評価する指標によって、上位の食事構成が変わる。体重や体脂肪量の順位を知りたいなら、中性脂肪の順位とは分けて読む必要がある。[3]

順位を献立に使うには、食事構成の分類に加えて、食事間の差の大きさを知りたい。報告された分類と順位だけでは、首位の食事と次の食事の差をkgで評価する材料が不足している。脂質を増やす量や個人の目標割合を決めるには、別の判断が必要になる。[3]

低脂質型の分析と、高脂質型が上位になった分析は、比較条件が異なる。前者は脂質をそろえてたんぱく質と糖質の差を見ており、後者は高たんぱく食の中で残りの配分も分類している。結果を並べるときに重要なのは、片方を正解、片方を誤りとすることではなく、どの条件への答えなのかを見失わないことである。[1][3]

ケトジェニック食の詳しい検討は、「ケトジェニック食の減量効果はいつまで続くか」の記事に譲る。ここでは、高たんぱくと低糖質を同じ意味にしないことを持ち帰りたい。食事を探すときは、名前の前半だけでなく、糖質と脂質をどう扱うかという後半まで確認する。研究の違いを食卓に戻す入口はそこにある。[1][3]

この分析の体重の結果は、標準化平均差という単位をそろえた効果の指標で示されている。値は−0.25、95%信頼区間は−0.40〜−0.11だった。体脂肪量の結果がkgで示されているのに対し、この値にkgを付けて読むことはできない。数字の大きさを横に並べる前に、何の単位で表されているかも確かめたい。[3]

また、通常量の食事との差を統合した数字と、高たんぱく食の種類を比べた順位は別々の情報である。前者が有利でも、後者の首位が自分の生活に最適とは決まらない。昼食を外で買う日と、自宅で調理する日では、実行できる献立も変わる。順位を使うなら、注文や調理で再現する条件まで考えるための手がかりにとどめるのが妥当だ。[3]

数字で読む高たんぱく食の比較

24試験・1,063人:エネルギーと脂質をそろえた低脂質食同士の比較である。[1]

体重の群間差−0.79kg:高たんぱく群の総減量ではなく、比較群との差だ。[1]

体脂肪量の群間差−0.64kg:異なる栄養配分も検討した分析での統合値である。[3]

除脂肪量の減少抑制0.43kg:筋肉だけの増加量と読み替えない数字だ。[1]

体重の群間差1.6kg:過体重の成人の37研究をまとめた推定で、食事条件には幅がある。[5]

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