野菜と果物のダイエット 足すだけでは動かない体重と、食卓の置き換えの科学

サラダや果物を増やしても体重が動かないのはなぜか。野菜・果物の摂取量を増やした比較試験とメタ分析から、減量効果の大きさ、研究の答えが分かれる理由、追加と置き換えの違いを読む。長期の観察研究や女性を対象としたレビューも照らし合わせ、日々の食卓で何を確認すればよいかを考える。

夕食の横にサラダを置き、食後には果物を食べる。買い物かごには以前より緑が多い。けれど、いつもの主菜も食後の菓子も残っている。この献立は「野菜・果物を増やした食事」だが、「何かを野菜・果物に置き換えた食事」だろうか。

食卓に何を足したかと、食卓全体がどう変わったかは別の問いだ。野菜・果物を増やすよう勧めた無作為化比較試験をまとめた研究でも、小さな体重差が見つかった分析と、明確な減量効果が見つからなかった分析がある。[1][2] 追加と置き換えを区別して、サラダに期待できることを研究の条件に合わせて見直したい。

この記事で扱うのは、野菜と果物の「量を増やす」ことと体重の関係である。食べる順番は「食べる順番で血糖の山は変わる」の記事に譲る。先に野菜を口に運ぶ話と、いつもの食事に野菜を追加する話を混ぜず、まずは皿の中身を見ていく。

増やすだけで起きた体重差は、小さかった

他の食品を減らすよう明確に勧めず、野菜・果物を増やしたらどうなるか。この問いに近いのが、Myttonらの系統的レビューとメタ分析である。系統的レビューは決めた条件で研究を集めて検討する方法、メタ分析はその結果を統計的にまとめる方法だ。この分析には無作為化比較試験、つまり参加者を偶然の割り当てで比較群に分ける試験だけが含まれた。[1]

対象は8試験、合計1,026人。研究期間は平均14.7週間で、短いものは4週間、長いものは52週間だった。野菜・果物の摂取量の群間差は平均133 gで、増やした群の体重変化は少ない群より平均0.54 kg低かった。95%信頼区間は−1.05〜−0.04 kgである。[1] 信頼区間は推定の不確かさを示す幅だ。平均の差だけでなく、その幅も一緒に読む必要がある。

これは「野菜と果物を食べた全員が0.54 kg痩せた」という意味ではない。多く食べるよう働きかけた群と、比較群の体重変化の差をまとめた数字である。開始時点からの減少量と、比較相手に対する差は同じではない。個人の予測より、群同士の比較に使う数値だ。[1]

研究間の結果のばらつきも大きく、異質性の指標は73%だった。[1] 同じ「増やす」という言葉でも、食べた量や実施期間が揃っているわけではない。統合された平均には、その違いが折り重なっている。野菜の袋に減量の保証書を付けるには、かなり控えめな数字だ。

さらに、摂取エネルギーの変化を測った6試験では、増やした群のほうが1日当たり+368 kJ多い方向だった。95%信頼区間は−27〜762 kJで、群間差は統計的に有意ではなかった。[1] kJはエネルギーの単位である。摂取量を増やすことが、食事全体のエネルギーを減らすことに直結した結果ではない。著者らの結論は、他の食品を減らす助言がなくても短期的な体重増加にはつながりにくく、維持や減量に役立つ可能性があるというものだ。長期の効果には追加の研究が必要とされている。[1]

例えば、比較群の体重が増え、摂取量が多い群では維持された場合にも、体重変化の差は生じる。群間差には、減量だけでなく増量の抑制も含まれる。[1] 著者らが維持にも言及した結論を、体重変化の平均差と合わせて読む。

食卓への翻訳も、その強さに合わせる。野菜・果物の増加だけで十分な減量が起きると予定を組むのは、この結果からは踏み込みすぎである。[1]

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明確な減量が見えなかった分析もある

同じ2014年のKaiserらのメタ分析は、より厳しい条件で試験を選んだ。各群15人以上、介入期間8週間以上、体重が評価項目に含まれ、減量や体重増加の予防を目的とすることなどが条件だった。また、対象の野菜・果物は、加工を最小限にとどめた多様な食品である。[2]

小さく切られた黄色や淡い緑色の果物に、赤や紫色の実を合わせたフルーツサラダ。
小さく切られた黄色や淡い緑色の果物に、赤や紫色の実を合わせたフルーツサラダ。
写真: PattayaPatrol / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

すべての条件を満たしたのは2試験だった。その統合結果は標準化平均差−0.16、95%信頼区間−0.78〜0.46で、明確な減量効果は認められなかった。ほぼ条件を満たす試験も含めた7試験の分析では、標準化平均差0.04、95%信頼区間−0.10〜0.17だった。[2] 標準化平均差は結果を共通の尺度にそろえた数値であり、kgとして読むことはできない。

この分析の著者らは、野菜・果物を増やすよう勧めたり、食品を届けたり提供したりするだけで減量を引き起こすという考えを、当時の試験は支持していないと結論した。他のエネルギー源を減らす取り組みと明確に組み合わせる必要性を指摘している。[2]

では、先ほどの小さな体重差と、どちらが本当なのか。まず、集めた試験の条件が違う。片方は他の食品を減らす助言がない試験を対象とし、もう片方は減量目的や期間、人数、加工の程度などを条件にしている。[1][2] 似た題名のメタ分析でも、同じ参加者と同じ献立を繰り返し測ったものではない。

しかも「明確な差がなかった」は、「どんな人にも一切役立たない」と同義ではない。信頼区間には不確かさが残る。小さな有意差の評価にも、対象と食事条件の確認が欠かせない。[1][2] 両方を読んだときに残るのは、増量だけを独立した強力な減量法として扱う根拠は弱い、という実用的な判断だ。

昼食の定食はそのままで副菜を足す場合と、食後の菓子の代わりに果物を選ぶ場合を想像してほしい。どちらも野菜・果物の摂取量は増えるが、他の食品の動きが違う。この違いを記録しないと、結果が出ないときに、食材そのものを疑うしかなくなる。[2]

大きな減量の数字には、対象と条件が付いている

肯定的な結果もある。過体重や肥満の人を対象とするArnottiらの2020年のメタ分析では、16研究、17比較、合計3,719人から、野菜・果物摂取への介入の統合効果として−2.81 kgが報告された。[11] 先ほどの平均−0.54 kgより大きく、明確な効果がなかった分析とも印象が異なる。[1][2][11]

ここで数字だけを取り出して「野菜を増やせば約3 kg」と言うのは早い。対象は体格指数(体重と身長から算出する体格の指標)が25を超える人であり、著者らは参加者、介入、方法、研究の特性によって結果が異なるかも調べている。[11] この数値を、体格も食事も異なるすべての大人の見込み量にはできない。

論文の要約には、社会経済的条件が低い層では−4.99 kg、医療・プログラムの場で募集された人では−3.7 kg、職場・教育機関で募集された人では−5.2 kgという効果が記されている。開始時の体格などによっても結果に差があった。一方、統合効果の信頼区間や、各研究で他の食品をどこまで減らしたかは、論文の要約では示されていない。[11] したがって「純粋に野菜・果物を足した分だけの効果」と断定する材料も足りない。大きな数字を消す必要はないが、条件を外して持ち帰らないことが大切だ。

女性に焦点を当てたDreherらのレビューは、前向きの観察研究と無作為化比較試験を検討し、野菜・果物の増加が女性の減量に寄与すると肯定的に評価している。また、エネルギー密度の高い食品や高脂肪の食品の制限を同時に行うと、効果が高まると述べている。[4] 統合されたkg単位の効果や信頼区間は、この論文の要約には示されていない。

エネルギー密度とは、食品の一定量に含まれるエネルギーの多さを指す。このレビューは、丸ごとの野菜・果物が食べる速さや満足感、低いエネルギー密度、食物繊維などを通じて体重に関わる可能性を挙げている。[4] 食べる速さや満足感を、食品の性質と体重の変化をつなぐ経路として検討している。

読者にとって使いやすいのは、女性という対象の近さだけでなく、「同時に何を変えたか」という視点である。野菜の小鉢が増えた夕食で、揚げ物も以前より大きくなっていないか。果物を選んだ日に、いつもの菓子も食べていないか。研究の条件に沿って食卓を観察するための問いである。[2][4]

数字で読む野菜・果物と体重

8試験・1,026人:他の食品を減らす助言なしに摂取増加を調べた分析の規模。[1]

−0.54 kg:摂取量が多い群と少ない群の体重変化の平均差。95%信頼区間は−1.05〜−0.04 kg。[1]

7試験・標準化平均差0.04:別の分析では明確な減量効果なし。95%信頼区間は−0.10〜0.17。[2]

−2.81 kg:過体重・肥満の人を対象にした別のメタ分析の統合効果。論文の要約に信頼区間の記載はない。[11]

16週間:中年以降の過体重・肥満の男女に野菜・果物を提供した試験の期間。[7]

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