ヨガで痩せるのか。この問いに対する研究は30年分ほど蓄積していますが、統合すると結果はかなり慎重なものになります。
30試験・2,173名を対象としたメタ分析は、次のように報告しています。「体重、BMI、体脂肪率、腹囲のいずれにも効果は認められなかった。」
一方で、同じ研究の下位群解析では、過体重・肥満の人に限れば BMI に効果(SMD −0.99)が出ています。ただし著者らは「効果は選択バイアスに対して頑健ではなく、出版バイアスも除外できなかった」と続けています。
何がどこまで示されているのか、そして数字が動くとき何が起きているのかを整理します。

体重への効果
Lauche R, Langhorst J, Lee MS, Dobos G, Cramer H. A systematic review and meta-analysis on the effects of yoga on weight-related outcomes. Preventive Medicine. 2016;87:213–232. DOI: 10.1016/j.ypmed.2016.03.013
2015年3月までに3つのデータベースを検索し、一般集団または過体重・肥満の人を対象とした無作為化比較試験を集めたものです。445件から30試験・2,173名が含まれました。
| 対象・アウトカム | 結果 |
|---|---|
| 全体(体重・BMI・体脂肪率・腹囲) | 効果は認められなかった |
| 健康な成人:ウエスト/ヒップ比 | SMD −1.00(−1.44〜−0.55)、p < 0.001 |
| 過体重・肥満の参加者のみ:BMI | SMD −0.99(−1.67〜−0.31)、p = 0.004 |
| 介入に関連する有害事象 | 報告なし |
著者らの結論は「方法論的な欠点にもかかわらず、ヨガは過体重または肥満の人の BMI を減らす、安全で効果的な介入として暫定的に(preliminarily)みなしうる」というものでした。「暫定的に」という限定がついています。
比較対象によって結果が変わる
Siti Asiah AS, et al. Effect of yoga on anthropometry, quality of life, and lipid profile in patients with obesity and central obesity: a systematic review and meta-analysis. Complementary Therapies in Medicine. 2023;75:102959. DOI: 10.1016/j.ctim.2023.102959
肥満・中心性肥満の患者を対象とした15研究・1,161名を、3つの比較に分けて解析したものです。
| 比較 | 結果 |
|---|---|
| ヨガ 対 対照 | 腹囲 MD −0.84(95%CI −5.12〜3.44) |
| 体重・BMI・体脂肪率に差なし | |
| ヨガ 対 カロリー制限 | 体重 MD −3.47(−6.20〜−0.74) |
| 腹囲・BMI・体脂肪率に差なし | |
| ヨガ 対 運動 | 体重 MD −7.58(−11.51〜−3.65) |
| 腹囲・BMI に差なし |
この表には、注意して読むべき箇所が2つあります。
第一に、腹囲の信頼区間(−5.12〜3.44)はゼロをまたいでいます。抄録では「ヨガは腹囲を減らす」と書かれていますが、この区間は統計的に有意でないことを示しています。
第二に、「ヨガ 対 運動」で体重差 −7.58 kg という値です。ヨガのほうが他の運動より7.6 kg も体重を減らした、という意味になります。これは他のあらゆる統合と整合しません。後述する Chu らの統合では「ヨガと運動のあいだに有意差は認められなかった」と報告されています。
著者ら自身が、この点を含めて厳しく評価しています。「所見は高いバイアスリスクと低い質のエビデンスのため頑健ではない」「すべての比較において方法論的な欠陥と非常に低いから中程度の質のエビデンスがあり、したがってヨガが人体計測パラメータを有意に改善しうると言うことは決定的でない(inconclusive)。」
統合された数字がどれほど大きくても、元になった試験の質が低ければ、その数字は信頼できません。
心血管代謝リスクへの効果
Chu P, Gotink RA, Yeh GY, Goldie SJ, Hunink MGM. The effectiveness of yoga in modifying risk factors for cardiovascular disease and metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. European Journal of Preventive Cardiology. 2016;23(3):291–307. DOI: 10.1177/2047487314562741
1,404件から37の無作為化比較試験(うち32件をメタ分析)を選んだものです。非運動対照との比較結果は次のとおりでした。
| 指標 | 効果(95%信頼区間) | 判定 |
|---|---|---|
| BMI | −0.77 kg/m²(−1.09〜−0.44) | 有意 |
| 体重 | −2.32 kg(−4.33〜−0.37) | 有意 |
| 収縮期血圧 | −5.21 mmHg(−8.01〜−2.42) | 有意 |
| 拡張期血圧 | −4.98 mmHg(−7.17〜−2.80) | 有意 |
| LDLコレステロール | −12.14 mg/dl(−21.80〜−2.48) | 有意 |
| HDLコレステロール | +3.20 mg/dl(1.86〜4.54) | 有意 |
| 総コレステロール | −18.48 mg/dl(−29.16〜−7.80) | 有意 |
| 中性脂肪 | −25.89 mg/dl(−36.19〜−15.60) | 有意 |
| 心拍数 | −5.27 拍/分(−9.55〜−1.00) | 有意 |
| 空腹時血糖 | −5.91 mg/dl(−16.32〜4.50) | 有意でない |
| HbA1c | −0.06%(−0.24〜0.11) | 有意でない |
そして最も重要な所見が、表の外にあります。
「ヨガと運動のあいだに有意差は認められなかった。」
つまり、上記の改善はいずれも「何もしない群と比べた場合」の数字です。他の運動と比べると、優位性は示されていません。
著者らの結論も慎重です。「所見は、試験の標本サイズの小ささ、異質性、そして無作為化比較試験の中程度の質によって制限されている。」
近年の統合では効果が小さい
Wasityastuti W, et al. Impact of yoga on cardiometabolic health in adults with overweight or obesity: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. PLOS Global Public Health. 2026;6(1):e0006174. DOI: 10.1371/journal.pgph.0006174
2024年11月までに7つのデータベースと2つの臨床試験登録を検索し、30の無作為化比較試験・2,689名が適格となり、うち23試験・2,313名がメタ分析に含まれました。GRADEpro で各アウトカムの質が評価されています。
| 指標 | 効果 | エビデンスの質 |
|---|---|---|
| 収縮期血圧 | −4.35 mmHg | 中程度 |
| 拡張期血圧 | −2.06 mmHg | 中程度 |
| LDLコレステロール | −0.08 mmol/L(臨床的に意味のある最小差を下回る) | 中程度 |
| HDLコレステロール | +0.06 mmol/L(同上) | 中程度 |
| 血糖・酸化還元・炎症 | 正の効果の可能性 | 不確実 |
脂質については「臨床的に意味のある最小差を下回る、控えめな効果(modest effects below the minimal clinically important differences)」と明記されています。統計的に有意であることと、臨床的に意味があることは別だ、という区別が正しく行われています。
また、対象となった研究のうち28研究中25研究は、肥満のある人を明示的に募集していませんでした。参加者の平均BMIが基準を満たしたために組み入れられています。この点も解釈に影響します。

メタボリックシンドロームでは
Cramer H, Langhorst J, Dobos G, Lauche R. Yoga for metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis. European Journal of Preventive Cardiology. 2016;23(18):1982–1993. DOI: 10.1177/2047487316665729
メタボリックシンドロームの患者を対象とした無作為化比較試験7件・794名を統合したものです。
| アウトカム | 結果 |
|---|---|
| メタボリックシンドロームの解消 | 効果なし |
| 拡張期血圧・中性脂肪・HDL・空腹時血糖 | 効果なし |
| 腹囲 | SMD −0.35(−0.57〜−0.13)、p < 0.01 |
| 収縮期血圧 | SMD −0.29(−0.51〜−0.07)、p = 0.01 |
| 上記2つの頑健性 | 選択バイアスに対して頑健でなかった |
| 介入に関連する有害事象 | 報告なし |
著者らの結論は、この記事で紹介する中で最も明確です。
「このメタ分析の結果に基づけば、メタボリックシンドロームのパラメータに影響を及ぼす目的で、ヨガを推奨することも推奨しないこともできない。」
そのうえで「方法論的な欠点にもかかわらず、さらなる研究が行われるまでは、従来型の運動を実行していない人において、腹囲と収縮期血圧を減らす安全で効果的な介入として暫定的にみなしうる」と付言しています。
「従来型の運動を実行していない人において」という条件が重要です。運動をしない人にとっての選択肢として位置づけられています。
数字が動くとき、何が起きているのか
ここが、この領域で最も示唆的な部分です。
Anheyer D, Haller H, Lauche R, Dobos G, Cramer H. Yoga in women with abdominal obesity – Do lifestyle factors mediate the effect? Secondary analysis of a RCT. Complementary Therapies in Medicine. 2021;60:102741. DOI: 10.1016/j.ctim.2021.102741
腹部肥満のある女性を対象に、12週間のヨガと待機リストを比較した無作為化比較試験の、探索的二次解析です。ヨガ群40名(48.5±7.9歳)、待機群20名(46.4±8.9歳)。BMI と腹囲をアウトカムとし、運動習慣、余暇・仕事での身体活動習慣、1日の果物・野菜摂取、栄養に関する自己効力感、身体的自己効力感を媒介変数として検討しました。
| 媒介変数 | BMI への効果の媒介 |
|---|---|
| 運動習慣 | 完全に媒介(B = −0.26、CI −.56〜−.07) |
| 1日の果物・野菜摂取 | 部分的に媒介(B = −0.13、CI −.38〜−.01) |
| その他 | 媒介効果は認められず |
「完全に媒介」という表現の意味は重要です。ヨガが BMI を下げた効果は、運動習慣が変わったことを経由して説明され、それを差し引くと直接的な効果は残らなかった、ということです。
著者らの結論は「ヨガは、過体重の人がより健康的に食べ、身体活動を増やすことを支援し、それが BMI の低下につながる。腹囲へのヨガの効果は、別の機序によると思われる」というものでした。
この所見が正しければ、ヨガに体重を減らす固有の作用があるのではなく、ヨガをきっかけに生活が変わることで体重が動くということになります。そしてそれは、他の運動でも起こりうる経路です。Chu らが「ヨガと運動のあいだに有意差なし」と報告したことと、整合します。

行動プログラムの中で使うと
Jakicic JM, et al. Feasibility of Integration of Yoga in a Behavioral Weight Loss Intervention: A Randomized Trial. Obesity. 2021;29(3):512–520. DOI: 10.1002/oby.23089
肥満のある成人50名(BMI 31.3±3.8)を対象に、標準的な行動的減量介入(SBWI)とカロリー・脂質制限食に加え、回復系ハタヨガまたはヴィンヤサヨガを組み合わせた6か月間の試験です。ヨガは20分から40分、60分へと増やす設計でした。
| 群 | 調整後の体重減少 |
|---|---|
| SBWI+回復系ハタ | −3.4 kg(−6.4〜−0.5) |
| SBWI+ヴィンヤサ | −3.8 kg(−6.8〜−0.9) |
| 群間差なし(P < 0.001 はいずれも群内の変化) | |
そして実務的に重要な所見があります。1回のセッション時間が障壁として報告された割合は、20分で0%、40分で7.5%、60分で48.8%でした。
著者らは「1セッション60分に進めることは、この集団においてヨガへの関与の障壁となると思われる」と結論しています。74.4%が介入後もヨガを続けたいと回答した一方で、長さは無視できない要因でした。
子どもでは
Jain V, et al. A comprehensive yoga programme for weight reduction in children & adolescents with obesity: A randomized controlled trial. The Indian Journal of Medical Research. 2022;155(5&6):531–541. DOI: 10.4103/ijmr.ijmr_525_20
8〜15歳の過体重・肥満の子ども165名(平均11.6±1.8歳、平均BMI 26.3±4.2)を、標準的体重管理/ヨガ+食事修正/対照(無介入)の3群に18週間割り付けたものです。
| 群 | BMI の変化(中央値、IQR) |
|---|---|
| 標準的体重管理 | −1.4(−3.1〜−0.5)kg/m² |
| ヨガ+食事修正 | −1.2(−2.3〜−0.6)kg/m² |
| 対照 | +0.3 |
結論は「食事修正と組み合わせたヨガは、小児年齢群の BMI 減少において、標準的体重管理と同等に効果的である」でした。優れている、ではなく同等であるという結論です。
ただし小児領域のレビューは、より厳しい評価をしています。4件のヨガ試験と7件のマインドフルネス試験(計620名、8〜19歳)を検討したものでは、「すべてのヨガ試験が人体計測の改善を報告したが、すべての試験がヨガに追加の身体活動を組み合わせていた」と指摘されています。
つまりヨガ単独の効果が分離されていません。著者らは「無作為化比較試験の方法論的質は低かった。安全性の情報は報告されなかった。……このエビデンスは、肥満のある青年の管理にヨガやマインドフルネスを推奨するには不十分である」と結論しています(López-Alarcón ら, 2024, Annals of the New York Academy of Sciences)。
前糖尿病では効果が示されていない
代謝指標のうち、血糖に関しては別の結果が出ています。前糖尿病の人を対象とした5試験・501名の統合では、空腹時血糖・食後血糖・HbA1c・BMI のいずれにも有意な効果が認められませんでした(確実性は低い〜非常に低い)。著者らは「ヨガ介入は主要アウトカムを有意に改善しなかった」と結論しています(Saha ら, 2026, Retos)。
これは Chu らの統合(空腹時血糖と HbA1c が有意でない)とも一致します。
いま言えること
- 30試験2,173名の統合では、全体として体重・BMI・体脂肪率・腹囲のいずれにも効果が認められなかった
- 過体重・肥満に限れば BMI に効果(SMD −0.99)。ただし「選択バイアスに対して頑健でなく、出版バイアスも除外できなかった」
- 肥満患者15研究の統合では、対照との比較で体重・BMI・体脂肪率に差なし。腹囲の信頼区間はゼロをまたぐ
- 同統合の「ヨガ 対 運動で −7.58 kg」は他のすべての統合と整合しない。著者ら自身が「高いバイアスリスクと低い質のため頑健でない」と評価
- 37 RCT の統合では、非運動対照と比べ BMI −0.77、体重 −2.32 kg、収縮期血圧 −5.21 mmHg など。ただしヨガと運動のあいだに有意差なし
- 空腹時血糖と HbA1c は有意でない
- 近年の統合では、脂質の効果は「臨床的に意味のある最小差を下回る」
- メタボリックシンドロームでは、その解消・拡張期血圧・中性脂肪・HDL・空腹時血糖のいずれにも効果なし。著者らは「推奨することも推奨しないこともできない」
- BMI への効果は、運動習慣の変化によって完全に媒介された
- 子どもでは、ヨガ+食事修正は標準的体重管理と「同等」。小児のレビューは「すべての試験がヨガに追加の身体活動を組み合わせていた」ため分離できないと指摘
- 1セッション60分になると、48.8%が時間を障壁として報告した
- 介入に関連する有害事象は、複数の統合で報告されていない
この領域の読み方をまとめると、次のようになります。
ヨガに、体重を減らす固有の作用があるという証拠は乏しい。全体の統合では有意にならず、有意になる下位群でもバイアスに対して頑健ではありません。
数字が動くとき、それは生活が変わったことを経由している可能性が高い。媒介分析では、BMI への効果が運動習慣の変化によって完全に説明されました。
そして他の運動と比べた優位性は示されていません。
とはいえ、これは否定的な結論ばかりではありません。Cramer らが述べた「従来型の運動を実行していない人において」という条件が、この証拠の実用的な位置を示しています。
運動をしていない人が何かを始めるとき、続けられる形式であることは重要です。Jakicic らの試験では74.4%が継続意思を示しました。一方で60分という長さは半数近くにとって障壁でした。「痩せるかどうか」より「続けられるかどうか」のほうが、この文脈では決定的かもしれません。
血圧については、複数の統合で一貫して改善が報告されています(収縮期で −4.35〜−5.21 mmHg)。体重や体脂肪より、こちらのほうが証拠は安定しています。
出典
- Lauche R, et al. A systematic review and meta-analysis on the effects of yoga on weight-related outcomes. Preventive Medicine. 2016. DOI: 10.1016/j.ypmed.2016.03.013
- Siti Asiah AS, et al. Effect of yoga on anthropometry, quality of life, and lipid profile in patients with obesity and central obesity: a systematic review and meta-analysis. Complementary Therapies in Medicine. 2023. DOI: 10.1016/j.ctim.2023.102959
- Chu P, et al. The effectiveness of yoga in modifying risk factors for cardiovascular disease and metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. European Journal of Preventive Cardiology. 2016. DOI: 10.1177/2047487314562741
- Wasityastuti W, et al. Impact of yoga on cardiometabolic health in adults with overweight or obesity: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. PLOS Global Public Health. 2026. DOI: 10.1371/journal.pgph.0006174
- Cramer H, et al. Yoga for metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis. European Journal of Preventive Cardiology. 2016. DOI: 10.1177/2047487316665729
- Anheyer D, et al. Yoga in women with abdominal obesity – Do lifestyle factors mediate the effect? Secondary analysis of a RCT. Complementary Therapies in Medicine. 2021. DOI: 10.1016/j.ctim.2021.102741
- Jakicic JM, et al. Feasibility of Integration of Yoga in a Behavioral Weight Loss Intervention: A Randomized Trial. Obesity. 2021. DOI: 10.1002/oby.23089
- Jain V, et al. A comprehensive yoga programme for weight reduction in children & adolescents with obesity: A randomized controlled trial. The Indian Journal of Medical Research. 2022. DOI: 10.4103/ijmr.ijmr_525_20
- López-Alarcón M, et al. Systematic review of the efficacy of yoga and mindfulness in the management of pediatric obesity. Annals of the New York Academy of Sciences. 2024. DOI: 10.1111/nyas.15245
- Saha GC, et al. The therapeutic potential of yoga in prediabetes: a systematic review and meta-analysis. Retos. 2026;78. DOI: 10.47197/retos.v78.115762
この記事は公表された研究の要約であり、診断や治療の助言ではありません。減量が必要とされている方、糖尿病・脂質異常症・高血圧の治療を受けている方は、運動や食事の内容を自己判断で変更せず、主治医にご相談ください。






