障害のある人の身体活動を扱う研究領域は、アダプテッド身体活動(adapted physical activity, APA)と呼ばれます。この領域の研究には、他の分野にはない特徴があります。
「何が障壁になっているか」を記述した研究が大量にある一方で、「その障壁を取り除いたら何が起きるか」を検証した研究が極端に少ない。
22のレビュー論文から200を超える要因を抽出した研究の著者らは、この状況をこう表現しています。「余暇身体活動の障壁と促進要因を単に記述するにとどまる研究から、身体活動を増やす戦略を開発し提供することへと、焦点を移すための青写真であり触媒である。」
ここでは、何が分かっていて何が分かっていないのかを、効果量とエビデンスの確実性まで含めて整理します。

最も規模の大きい効果の検証
Hassett LM, et al. Effects of sport or physical recreation for adults with physical or intellectual disabilities: a systematic review with meta-analysis. British Journal of Sports Medicine. 2023. DOI: 10.1136/bjsports-2023-107123
身体障害または知的障害のある成人を対象とし、スポーツまたは身体的レクリエーションを非活動的な対照と比較した無作為化比較試験のみを集めた統合です。6つのデータベースを2022年5月まで検索し、74試験・n = 2,954(平均年齢55歳)が含まれました(PROSPERO CRD42018104379)。
まず、含まれた研究の内容に注目してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 身体障害のある人を含む試験 | 74試験中70試験 |
| スポーツを評価した試験 | ゼロ |
| 最も多く検証された活動 | 中国伝統的運動(35%)、ヨガ(27%)、ダンス(18%) |
| 平均的な用量 | 1回65分、週2回、13週間 |
| 活動の経験・訓練がある人が指導した割合 | 86% |
| 障害のある人と関わる経験・訓練を報告した割合 | 37% |
| 参加(出席率) | 平均81%(30介入群) |
「スポーツ」を掲げたレビューでありながら、スポーツを評価した試験は1件もありませんでした。実際に検証されていたのは、太極拳・気功などの中国伝統的運動、ヨガ、ダンスです。
そして指導者の63%は、障害のある人と関わる訓練を受けたと報告していませんでした。これは介入の質を考えるうえで重要な情報です。
効果と、その確実性
| アウトカム | 効果 | 95%信頼区間 | n | 確実性 |
|---|---|---|---|---|
| 移動能力 | SMD 0.38 | 0.07〜0.69 | 469 | 低 |
| 歩行持久力 | MD +40.3 m | 19.5〜61.1 | 801 | 低 |
| バランス(Berg Balance Scale、0〜56点) | MD +3.4点 | 2.3〜4.4 | 906 | 非常に低い |
| 生活の質(身体的健康) | SMD 0.37 | 0.02〜0.72 | 468 | 非常に低い |
| 歩行速度 | MD 0.03 m/秒 | −0.05〜0.11 | 486 | 改善せず |
効果が確認された項目もありますが、確実性はすべて「低い」か「非常に低い」です。生活の質の信頼区間の下限は 0.02 でゼロに接しており、歩行速度は改善しませんでした。
著者らの結論は慎重です。「身体的レクリエーションは、選ばれた活動の種類にかかわらず、障害のある人に複数の便益をもたらしうる。したがって、身体活動を増やすための、楽しめて拡張可能な戦略となる可能性がある。」
「活動の種類にかかわらず」という点は、実務的に重要な示唆です。特定の種目が優れているという証拠はなく、参加できる形式であることのほうが重要かもしれない、という読み方ができます。
目的とアウトカムがずれている問題
この領域には、方法論上の根本的な問題があります。
Reedman S, et al. The efficacy of interventions to increase physical activity participation of children with cerebral palsy: a systematic review and meta-analysis. Developmental Medicine & Child Neurology. 2017. DOI: 10.1111/dmcn.13413
脳性麻痺のある子ども・若者の余暇身体活動(LTPA)への参加と習慣的身体活動を増やすための、治療的介入と行動変容介入の有効性を検討したものです。2,487件から8研究(9論文)が含まれました。
| アウトカム | 効果量(SMD) | 95%信頼区間 | p値 |
|---|---|---|---|
| 習慣的身体活動の水準 | 0.34 | 0.03〜0.66 | 0.030 |
| 余暇身体活動への参加 | 0.40 | −0.40〜1.19 | 0.330 |
習慣的身体活動については、1日あたり約1,000歩の増加に相当する小さいが有意な効果が出ました。しかし余暇身体活動への参加——本来の目的——については有意でありませんでした。
点推定値(0.40)は習慣的身体活動(0.34)より大きいのに、信頼区間が −0.40〜1.19 と極めて広いため有意に達していません。研究数が足りていないということです。
著者らの指摘は率直です。「不適切なアウトカムの選択と、複雑な介入の不十分な報告が、この分野の進展の障壁となっている。」そして「機能障害に焦点を当てたアプローチから離れる必要がある」と述べています。
地域ベースの介入でも同じ
Greene T, et al. A Systematic Review of Community-Based Exercise Interventions for Adults with Intellectual Disabilities. Healthcare. 2025;13(3):299. DOI: 10.3390/healthcare13030299
知的障害のある成人を対象とした地域ベースの運動介入を検討したものです。9,034件を検索して、適格基準を満たしたのは5研究だけでした。
| 所見 | 内容 |
|---|---|
| 介入の内容 | ウォーキング単独2件、ウォーキング+栄養/減量2件、ウォーキング+エアロビクス1件 |
| 身体活動水準の有意な改善 | 多要素の介入(ウォーキング+エアロビクス)1件のみ |
| 身体組成の有意な改善 | 多要素の地域ベース介入 |
| 生活の質の有意な改善 | ゼロ |
| バイアスのリスク | 全研究で中程度から高い |
著者らは「含まれた研究の数が少なく、標本サイズが小さく、バイアスのリスクが高いため、確定的な結論を導くことには慎重であるべきである」と明記しています。
Web ベースの介入についても同様です。9研究・計314名(介入群192名・対照群122名)を対象としたレビューでは、9研究中4研究で有意な正の効果が報告された一方、残る5研究では有意な効果が認められませんでした(Park ら, 2024, IJASS)。

小児の神経運動障害では
Faccioli S, et al. Gross Motor Performance, Participation and Quality of Life After Adapted Physical Activity Interventions in Pediatric Populations with Neuromotor Disability: A Systematic Review. Children. 2025;12(7):815. DOI: 10.3390/children12070815
神経運動障害のある子ども・青年を対象に、粗大運動能力(検索1)と参加・生活の質(検索2)への APA の役割を検討した系統的レビューです。それぞれ13研究と7研究が含まれ、すべて無作為化比較試験でした。ただし一部は無作為化に関するバイアスのリスクを呈していました。
検討された APA は、レジスタンストレーニング、高強度サーキット、ランニング、サイクリング、水中運動、ダンストレーニングなど。対象の大半は脳性麻痺またはダウン症でした。
| 観察された効果 |
|---|
| 中〜高強度身体活動の時間の増加 |
| 時間計測による機能テストの改善 |
| 筋力の改善 |
| 安定性の改善 |
著者らの結論は「APA は、神経運動障害のある小児の機能と社会参加を改善し、活動的な生活様式を促進しうる。有害事象を伴わずに」というものです。
有害事象がなかったという記述は、この領域では重要です。障害のある人の運動は「危険ではないか」という懸念から控えられることがありますが、少なくともこれらの試験の範囲では、そうした事象は報告されていません。
そのうえで著者らは「将来的には、機能プロファイルに基づくより具体的な指針が、専門職が個別化された安全なトレーニングプログラムを定めるために望ましい」と述べています。
介入研究の内容を国際生活機能分類(ICF-CY)で分類した別のスコーピングレビューでは、1987年から2020年に発表された35研究が対象となりました。最も大きな対象群は自閉症のある子どもで、コード化された184のアウトカム項目のうち48%が「心身機能」、52%が「活動と参加」に焦点を当てていました(An ら, 2023, International Journal of Developmental Disabilities)。
何が障壁になっているのか
ここからが、この領域で最も研究が蓄積している部分です。
Ma JK, Martin Ginis KA. A systematic review of review articles addressing factors related to physical activity participation among children and adults with physical disabilities. Health Psychology Review. 2016. DOI: 10.1080/17437199.2016.1198240
身体障害のある子ども・成人の余暇身体活動の障壁と促進要因を扱った22のレビュー論文から、200を超える要因を抽出したものです。要因は共通テーマごとにまとめられ、社会生態学モデルの5水準に分類され、医療セクターと/またはレクリエーションセクターが影響できるかどうかでコード化されました。
著者らの問題意識は明確です。「残念なことに、この文献を、障害のある人々の余暇身体活動促進に責任を持つセクター(医療、レクリエーションなど)にとって利用しやすく有用な形で統合しようとする努力は、ほとんど行われてこなかった。」
障壁は個人の中にはない
McKenzie G, et al. Barriers and facilitators of physical activity participation for young people and adults with childhood-onset physical disability: a mixed methods systematic review. Developmental Medicine & Child Neurology. 2021. DOI: 10.1111/dmcn.14830
小児期発症の身体障害のある15歳以上の若者と成人について、身体活動への態度・障壁・促進要因を理解することを目的としたレビューです。7つのデータベースを2019年11月まで検索し、19研究が含まれました。
まず方法論的な質について、著者らは厳しい評価をしています。「方法論的な質はばらつきがあり、すべての質の項目を満たしたのは質的研究4件と量的研究1件のみであった。」19研究のうち5研究です。
統合から浮かび上がった包括的テーマは「適切なバランスを見つけること(finding the right balance)」でした。能力・機会・動機づけに関する6つの下位テーマが、身体活動への参加が「自分に合っている(the right fit)」と見られるか「あまりにも大変すぎる(all too hard)」と見られるかに寄与していました。
「解釈的統合の結果、社会的つながり、社会環境からの支援、そして適切な物理的環境が、身体的に活動的であるための『適切なバランスを見つけること』に不可欠であった。……小児期発症の身体障害のある若者と成人の身体活動参加は、主として社会的および物理的環境によって影響される。」
この結論は、障壁が個人の意志や動機の問題ではないことを示しています。
脳性麻痺のある子ども・青年に絞ったスコーピングレビューでは、10,795件から57研究が含まれ、障壁の頻度が集計されています。
| 障壁 | 報告した研究数 |
|---|---|
| 運動機能障害 | 30研究 |
| 年齢が高いこと | 15研究 |
| 痛み | 6研究 |
| 通常学校への在籍 | 6研究 |
| コミュニケーションの問題 | 4研究 |
促進要因としては、認知的属性、適応された物理的環境、肯定的な態度、家族の支援が挙げられました。著者らは「これらの要因は互いに相互作用するため、多次元的で複雑である」とし、リハビリテーション介入は「個人の要因だけでなく、それらと子どもの環境との相互作用を考慮すべきである」と述べています(Abid ら, 2022, Disability and Rehabilitation)。
知的障害のある子ども・青年についても、32研究を対象としたスコーピングレビューで34の要因が同定されています。
| 最も多く報告された障壁 | 最も多く報告された促進要因 |
|---|---|
| 障害特異的な要因 | 高い自己効力感 |
| 低い自己効力感 | 身体活動を楽しむこと |
| 親の支援の不足 | 十分な親の支援 |
| 不十分または利用しにくい施設 | 仲間との社会的交流 |
| 適切なプログラムの不足 | 学校の体育授業への参加 |
| — | アダプテッド身体活動プログラム |
(Yu ら, 2022, Healthcare)
屋外での活動は、設計の問題として扱える
障壁を「取り除くべき障害物」ではなく「設計の課題」として整理した研究もあります。
Sarsak H, et al. Adaptive outdoor physical activities for adults with mobility disability: a scoping review. Frontiers in Rehabilitation Sciences. 2024. DOI: 10.3389/fresc.2023.1331971
移動障害のある成人の、屋外でのアダプテッド身体活動への参加を扱ったスコーピングレビューです。2002年から2023年に発表された19研究から37の要因が抽出され、社会生態学モデルの4水準(個人内・社会環境・物理環境・政策)に分類されました。
この研究の特徴は、障壁の列挙にとどまらず、ユニバーサルデザインの7原則に沿って11の設計提案を分類した点です。「本人が何をすべきか」ではなく「環境をどう作るか」という問いの立て方になっています。
そのうえで著者らは、知識の空隙がどこにあるかも明示しました。「主に社会・環境の水準に、提示された障壁・促進要因と設計提案のあいだの空隙が認められた。とくにプログラム提供とロジスティクスにおける革新の欠如である。」
つまり、何が障壁かは分かっている。しかし、どう届けるかが設計されていないということです。Ma らが「記述から戦略へ」と述べたのと同じ問題が、屋外活動という具体的な場面でも確認されています。著者らは「今後の研究は、移動障害のある人自身を介入の設計に参加させることに焦点を当てるべきである」と提言しています。
性別による違い
Olasagasti-Ibargoien J, et al. Barriers to Physical Activity for Women with Physical Disabilities: A Systematic Review. Journal of Functional Morphology and Kinesiology. 2023;8(2):82. DOI: 10.3390/jfmk8020082
身体障害のある女性が直面する障壁を同定した系統的レビューです。選択基準として「障壁の種類が性別によって区別されていない結果を示す研究」を除外している点が特徴です。
結果として、区別する要因に応じて8種類の障壁が同定されました。著者らの結論は次のとおりです。「障害のある人の身体活動への参加は、性別によって異なると思われる特定の障壁と直接関係している。したがって、身体活動への参加の成否は、利用者本人の関心だけでなく、包摂的な社会環境にも依存する。」

「やる気がある人」でさえ動けない
障壁の研究には、しばしば「動機づけが低い」という説明がついて回ります。しかし、それを統制した研究があります。
Jaarsma EA, Smith B. Promoting physical activity for disabled people who are ready to become physically active: A systematic review. Psychology of Sport and Exercise. 2018;37:205–223. DOI: 10.1016/j.psychsport.2017.08.010
この研究の対象は「活動的になる意図を持っている(intenders)」障害のある人に限定されています。20研究が含まれました。
| 身体活動と正に関連 | 身体活動と負に関連 |
|---|---|
| 自己効力感 | 障壁を経験すること |
| 意図 | 機能障害の重症度 |
| 賛否を比較検討すること | — |
効果的だった行動変容技法(BCT)として、行動の自己モニタリング、障壁の同定/問題解決、行動計画(action planning)が挙げられています。
質的研究のメタ統合も、同じ方向を示しています。10論文から7つの相互に関連する概念が構成され、「情報的・社会的・行動的介入の組み合わせが、身体活動の開始と維持に決定的であると知覚されている」という結果でした(Williams ら, 2018, Health Psychology Review)。
医療者が勧めるかどうか
この領域の議論で見落とされがちな要因があります。障害のある子どもの保護者による論考は、次の点を指摘しています。
Frisina C. Barriers and facilitators of physical activity participation for people with disabilities: a parent’s perspective. Developmental Medicine & Child Neurology. 2021. DOI: 10.1111/dmcn.14897
脳性麻痺のある娘を持つ保護者による記述です。「驚いたことに、私たちに身体活動と運動を具体的に勧めた医療提供者はほとんどおらず、娘の身体的・精神的健康にとって活動的であることの便益を説明した人はさらに少なかった。これは、その系統的レビューでは扱われていない参加への重大な障壁である。」
そして米国疾病予防管理センターのデータとして「障害のある人は、臨床家が勧めれば身体的に活動的になる可能性が82%高い」という数字を引いています。
この論考自体は個人の経験に基づく論説であり、研究データではありません。ただし、障壁の研究が促進要因より障壁を包括的に調べてきたという指摘は、Ma らのレビューの問題意識とも重なります。
指導者側の問題
Mehringer J, et al. Exercise Considerations for Adults with Disabilities: A Systematic Review. Journal of Developmental and Physical Disabilities. 2025. DOI: 10.1007/s10882-025-10016-w
1999年から2024年に実施された障害特異的な運動研究 46件を対象に、プログラム設計時に考慮すべき要因を同定した系統的レビューです。対象には多発性硬化症、ダウン症、知的障害、移動障害、車椅子使用者、切断者、線維筋痛症、後天性脳損傷が含まれます。
浮かび上がった6つのテーマは次のとおりです。
| テーマ |
|---|
| a) 強度を参加者のニーズと能力に個別化する |
| b) 修正版または代替の選択肢を提供する |
| c) 親・保護者・介護者の支援 |
| d) 関与を促進する特別な配慮を提供する |
| e) 現行の障害特異的な運動基準の欠如 |
| f) アドヒアランスを高める戦略に関するその他の情報 |
e の項目が重要です。障害特異的な運動基準が存在しないというのが、この領域の現状です。一般人口向けのガイドライン(週150分など)はありますが、それぞれの機能プロファイルに応じた指針は整っていません。
著者らの結論は「アダプテッドの専門家ではないフィットネス専門職が、障害のある人が運動プログラムにアクセスし便益を得る際に直面する障壁に対処する必要性を強調するものである」というものでした。Hassett らの統合で指導者の63%が障害のある人と関わる訓練を報告していなかったことと、同じ問題を指しています。
いま言えること
- 74試験・2,954名を統合した無作為化比較試験のメタ分析では、移動能力(SMD 0.38)と歩行持久力(+40.3 m)が改善したが確実性は「低い」。バランス(+3.4点)と生活の質(SMD 0.37)は「非常に低い」。歩行速度は改善せず
- 同じ統合で、スポーツを評価した試験は1件もなかった。検証されていたのは中国伝統的運動35%、ヨガ27%、ダンス18%
- 指導者の86%は活動の経験・訓練があったが、障害のある人と関わる経験・訓練を報告したのは37%だけ
- 「選ばれた活動の種類にかかわらず」便益がありうる、というのが著者らの結論
- 脳性麻痺のある子どもでは、習慣的身体活動は約1,000歩/日 増えた(SMD 0.34、p = 0.030)が、本来の目的である余暇身体活動への参加は有意でなかった(SMD 0.40、p = 0.330)
- 知的障害のある成人の地域ベース介入は、9,034件を検索して適格が5研究のみ。生活の質を有意に改善した研究はゼロ、バイアスのリスクは全研究で中〜高
- 小児の神経運動障害では、機能・社会参加の改善が「有害事象を伴わずに」観察された
- 障壁については、22のレビューから200超の要因が抽出されている。しかし著者らは「記述から戦略の開発・提供へ焦点を移す必要がある」と指摘
- 小児期発症の身体障害では「参加は主として社会的および物理的環境によって影響される」。ただし19研究のうち質の項目をすべて満たしたのは5研究のみ
- 活動的になる意図をすでに持っている人でも、障壁の経験と機能障害の重症度が身体活動と負に関連する
- 障害特異的な運動基準は存在しない
この領域を読むうえで最も重要なのは、効果が小さいことと、効果を測れていないことの区別です。
確実性が「低い」「非常に低い」と評価されているのは、効果が小さいからではなく、試験の数が少なく、標本が小さく、バイアスのリスクが高いからです。「障害のある人に運動は効かない」という結論は、どの統合からも出ていません。
そしてもうひとつ、実務的に確からしいのは障壁が個人の中にはないという点です。McKenzie らが環境を主因とし、Jaarsma らが「意図を持っている人」に限定してもなお障壁の経験が負に関連することを示し、Olasagasti-Ibargoien らが「包摂的な社会環境に依存する」と結論しています。
「本人のやる気」を変数として扱う前に、参加できる形式が用意されているか、指導できる人がいるか、行ける場所があるかを確認するほうが、証拠との整合性が高いということになります。
出典
- Hassett LM, et al. Effects of sport or physical recreation for adults with physical or intellectual disabilities: a systematic review with meta-analysis. British Journal of Sports Medicine. 2023. DOI: 10.1136/bjsports-2023-107123
- Reedman S, et al. The efficacy of interventions to increase physical activity participation of children with cerebral palsy: a systematic review and meta-analysis. Developmental Medicine & Child Neurology. 2017. DOI: 10.1111/dmcn.13413
- Greene T, et al. A Systematic Review of Community-Based Exercise Interventions for Adults with Intellectual Disabilities. Healthcare. 2025;13(3):299. DOI: 10.3390/healthcare13030299
- Park KH, et al. A Systematic Review of Web-based Physical Activity Interventions for Individuals with Disabilities. IJASS. 2024;36(1):77. DOI: 10.24985/ijass.2024.36.1.77
- Faccioli S, et al. Gross Motor Performance, Participation and Quality of Life After Adapted Physical Activity Interventions in Pediatric Populations with Neuromotor Disability: A Systematic Review. Children. 2025;12(7):815. DOI: 10.3390/children12070815
- An M, et al. A scoping review of adapted physical activity interventions for children and youth with disabilities using international classification of functioning, disability and health: children and youth version as a reference. International Journal of Developmental Disabilities. 2023. DOI: 10.1080/20473869.2022.2161987
- Ma JK, Martin Ginis KA. A systematic review of review articles addressing factors related to physical activity participation among children and adults with physical disabilities. Health Psychology Review. 2016. DOI: 10.1080/17437199.2016.1198240
- McKenzie G, et al. Barriers and facilitators of physical activity participation for young people and adults with childhood-onset physical disability: a mixed methods systematic review. Developmental Medicine & Child Neurology. 2021. DOI: 10.1111/dmcn.14830
- Abid M, et al. Facilitators and barriers to participation in physical activities in children and adolescents living with cerebral palsy: a scoping review. Disability and Rehabilitation. 2022. DOI: 10.1080/09638288.2022.2150327
- Yu S, et al. Barriers and Facilitators of Physical Activity Participation among Children and Adolescents with Intellectual Disabilities: A Scoping Review. Healthcare. 2022;10(2):233. DOI: 10.3390/healthcare10020233
- Olasagasti-Ibargoien J, et al. Barriers to Physical Activity for Women with Physical Disabilities: A Systematic Review. Journal of Functional Morphology and Kinesiology. 2023;8(2):82. DOI: 10.3390/jfmk8020082
- Jaarsma EA, Smith B. Promoting physical activity for disabled people who are ready to become physically active: A systematic review. Psychology of Sport and Exercise. 2018. DOI: 10.1016/j.psychsport.2017.08.010
- Williams TL, et al. Participant experiences and perceptions of physical activity-enhancing interventions for people with physical impairments and mobility limitations: a meta-synthesis of qualitative research evidence. Health Psychology Review. 2018. DOI: 10.1080/17437199.2017.1299027
- Frisina C. Barriers and facilitators of physical activity participation for people with disabilities: a parent’s perspective. Developmental Medicine & Child Neurology. 2021. DOI: 10.1111/dmcn.14897
- Mehringer J, et al. Exercise Considerations for Adults with Disabilities: A Systematic Review. Journal of Developmental and Physical Disabilities. 2025. DOI: 10.1007/s10882-025-10016-w
- Sarsak H, et al. Adaptive outdoor physical activities for adults with mobility disability: a scoping review. Frontiers in Rehabilitation Sciences. 2024. DOI: 10.3389/fresc.2023.1331971
この記事は公表された研究の要約であり、診断や治療の助言ではありません。障害のある方が運動を始める際は、主治医またはリハビリテーション専門職にご相談のうえ、個々の機能に合わせた内容をご検討ください。






